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第236話 心弛

家に戻って来て、いつものマグカップで温かい飲み物を両手で持つとやっと少しホッとする事ができた 佑吾は車の中でもずっと抱きしめてくれて、先輩と二人だった事にも何も言われなかった 僕が説明しようとしたら「大丈夫だよ 何もないって分かってるから」って微笑んでくれた ちゃんと信じてもらえた そう思ったら嬉しくて目頭を拭っていた 「…早く帰って来ないかな」 そう呟いた瞬間、玄関の鍵が開く音がしてギョッとして時計を見た 時間はまだ17時にもなっていない それでもリビングのドアを開けたのは間違いなく佑吾だった 「ただいま!! 大丈夫か!?」 「…うん…お帰りなさい」 僕がビックリして呆けていると佑吾はホッとした様に笑って僕の隣に腰を降ろした 「…佑吾…お仕事は⁇」 「ん⁇ ああ、取り敢えず会社でしか出来ないのだけ片付けて後は持って帰って来た」 そう言われて佑吾の荷物を見るといつもと違う鞄がもう一つあって、そっちはパンパンに膨れ上がっていた 「…ごめんね」 申し訳ないと思うのにすごく嬉しくて自然と涙が滲んだ 「創が謝る必要なんて無いよ 俺が 一緒に居たいだけだから」 そう言って僕の涙を掬うと何度もキスしてくれた 「…今日 何があったのか聞いても良い⁇」 「…うん」 僕が佑吾の手を握ると佑吾も握り返してくれて、ゆっくりだけど今日あった事を話し始めた

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