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第237話 心弛 Ⅱ〜side佑吾〜

「…お母さんと… 一緒に住んでた男の人がいた…」 創のその言葉で写真の男が誰なのか直ぐに理解出来た 震える創の肩を抱き、細い身体を強く抱き締めた 「恐かったよな…」 「…うん 恐かった」 言いながら創も俺の背中に手を回してくれてキツく抱きしめ合った 「また佑吾と引き離されちゃうかもしれないって思ったら…すごく…すごく恐かったよ」 「…創」 創が恐い思いをした事が許せない でも俺と離れたくないと思ってくれて嬉しい 何とも表現し難い複雑な気持ちに駆られながらもこれだけは強く思う 絶対に誰にも渡さない 「そんな事絶対にさせないし、もし創が拐われたりしても必ずまた見つけるから」 「…佑吾」 潤んだ瞳に吸い込まれるように顔を近付けると自然と唇が重なる 何回か繰り返すうちに舌が絡んでお互い息が少し上がって所で口を離し、創の項に顔を埋めた ふわりと香るシャンプーの匂いと薄ら漂う甘いフェロモン 身体中の熱が集まってくるのを感じる 「…佑吾のお部屋行きたい」 そんな時にすりすりと頬を寄せながら創にそんな事を言われて本気で鼻血が出るかと思った こんな状況なのに頬の筋肉が緩みそうで必死で顔に力を入れた 「…ん…じゃあ 俺、先シャワー浴びて来るね⁇」 「うん…」 ソファから立ち上がり、ジャケットを脱いだ所で大量に持ち帰った書類に目が止まり、少し考えを巡らせた後 創の方を振り返った 「⁇」 余韻で頬を染めている創は俺の視線に不思議そうに首を傾げている 「やっぱり 創の部屋に行っても良い⁇」 「え⁇」 「今日、コレ終わらさなきゃいけないからさ  創は眠くなったら、ゆっくり寝て欲しいし…  仕事片付いたらまた創のベッドに入らせて⁇」 俺の言葉に創は少しはにかんだように笑った 「うん…僕もベッドに佑吾の匂いがしてくれたら…嬉しい」 ああ… 本当に創って可愛い 早くその身体を味わいたい 「良かった じゃあ、待ってて⁇」 「うん…」 ネクタイを緩めながら部屋に向かい、スーツをクローゼットに仕舞込むと足早に風呂場へと向かった
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