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第240話 紛糾
「うわああああん!!」
やっと仕事も一段落つき、もう一度シャワーでも浴びようかと思った時だった
創の泣き声が俺の部屋まで届いたのを聞き、慌てて創の元へと急いだ
「創!? どうした!?」
創はベッドの上で手足をバタつかせながら泣き叫んでいて、その様子は痛々しい以外の何物でもなかった
「嫌だーーー!! やめてーーーー!!」
「創!! 大丈夫だから!!」
瞳の焦点が定まっていない
手を取ろうとすると叩かれてしまったが何とかその身体を抱き締め、背中をポンポンと何度も叩いた
「創、大丈夫だよ
ココには創に嫌な事をする人は居ないから」
「…う…っ…ふ…うぅぅ…」
少し落ち着いたのか、創からは啜り泣く様な声だけが聞こえてきた
その間ずっと背中をさすり続けていたが少し経った頃、創の頭が俺の胸にガクンと倒れ込んできてウッと詰まった声が出てしまった
「…創⁇」
そろりと顔を覗き込むと大きな瞳は瞼に覆われていてホッと胸を撫で下ろした
まるで赤ちゃんの夜泣きの様だなと思っていた矢先、創がまた泣きながら魘されだして少し悩んだが細い身体を小さく揺すった
「創 起きて」
「…ん……う…⁇」
寝起きの瞳は俺を捉えると震えながら手を伸ばしてきて、その細い手を取ると自分の頬に寄せた
「創…俺の事分かる⁇」
「…ゆ…ご…」
「ん…そうだよ」
先程と違い自我を保ってはいる
しかし創の目からまた涙が溢れ出してきて、空いている方の手でポロポロと落ちていくソレを拭った
「…僕…きた」
「汚くない」
予想のついた言葉を遮ると創は驚いたのか目を見開いている
そんな創の目元や頬に吸い付くと笑顔で柔らかい髪を撫でた
「汗かいてる
さっき身体は拭いたんだけど 一緒に風呂入るか⁇」
「…うん」
頷いてくれた創を抱き抱え、風呂場へと向かった
その間 創はずっと俺に抱きついていてその華奢な身体は小さく震えていた
創の頭の中には俺には想像出来ない様なモノがあって、それは忘れる事が出来ない創にとってどんなに辛い事なのか考えるだけで心が痛む
なるべく早く少しでもソレを小さくしてあげたい
腕の中の創を見つめながら、そう思わずにはいられなかった
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