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第18話

「オレのせいだ……でも、本心だ」  レストが自分に性的魅力を感じている。Ωのフェロモンがなくても、求めてくれている。それがとても嬉しくて、クレエはその気持ちに素直に応えたいと思った。 「バカ……責任、とれよ」  この発情した身体を鎮める為にはそれしかない。Ωとして産まれ発情期を迎えてから、初めてこの身を委ねたいと思う相手に出会い心を通わせた。だから全て捧げたい。 「早く、抱いてくれ……」  赤い顔でレストを見上げるとそれまでゆらゆらと揺れていただけの尻尾がピンと立った。と、素早くクレエの身体を軽々と抱えてあっという間に寝室へと連れて行った。獣人用に作られた大きめのベッドに下ろされると両頬を大きな手で挟まれ口付けをされる。途端に甘い匂いがお互いから発せられ力が抜けていった。  身体をゆっくりと倒されたクレエは上から四つん這いで覆い被さってきたレストを見た。  薄暗闇の中で怪しく光る瞳がクレエを射抜くように見ている。その野性的な視線にゾクリと鳥肌がたつ。今にも牙をたてて喉元を食いちぎられそうな気がしてくる。「はぁ……」と熱い息を漏らしたレストが着ていた寝着を脱ぎすてる。鍛え上げられた獣の身体が晒され、クレエは思わずその綺麗な筋肉に見惚れた。毎日かかさずに訓練し、戦場を駆け抜ける気高い騎士の肉体を見ただけで火照った身体が更に熱を上げる。  レストは無言のままクレエの外套に手をやった。紐で結んである外套の前を解き、それを脱がす。城内を歩き回る時と同じ、飾り気のない衣服に身を包んだクレエの身体を服の上からクンクンと嗅いで回る。今夜は湯浴みをしていなかったので体臭が気になって「レスト、やめろ、嗅ぐな」と懇願したが聞き入れてはもらえなかった。  恥ずかしさから余計に体温が上がる。レストは構わずあちこちに鼻先をつけて匂いを嗅いでいく。 「甘い……甘い、クレエの匂いだ……」 「なに……」  恥ずかしさから身体を横に向けると耳をペロリと舐められ、身体がビクンと跳ねた。 「この小さな耳も」  囁く声はうっとりするほど甘く耳に心地良い。 「この丸い瞳も」  瞼とこめかみに鼻先をくっつけてから、舌で舐めていく。くすぐったくて、身震いしながら今度は顎を舐めるレストを目だけで追いかけた。

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