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第19話

「ここも、ここも……」  喉を降りていき、鼻先でクレエの肩口から服を避けて舐める舌。  あちこち舐められる度に、ふう、と息が漏れて堪らない気持ちになる。焦れったい、けれどもっと隅々まで舐められたい。全身余すことなく味わってほしい。 「全て愛おしい」  真面目で凛々しい騎士の鑑のような存在のレストの口から蕩けるような睦言を囁かれ、それだけで天に昇りそうになる。 「レスト……」  アンバー色の瞳が月灯りに照らされて宝石の如く煌めく。  大きな、いつもは剣を握るその手がクレエの服を掴むと口を大きくあけて牙をたて、服を噛んだ。いとも簡単にビリビリと音をたてて引き裂かれた服。そんな乱暴な脱がせ方をされるとは予想しておらず呆気に取られたクレエは次の瞬間、またビクンと身体を弾ませた。  露わになった上半身を吟味するように眺めたあと、レストの舌が鎖骨からツーっと線を描いて胸の粒にたどり着いた。  その回りを円を描いて舐める。時折、むせ返るほどのΩの匂いが発せられ、その度にレストは苦しそうに息を吐いた。  欲望に身を任せてしまいたい気持ちと、ゆっくり時間をかけてクレエの身体を開きたいという気持ちがせめぎ合う。理性を飛ばさぬようにと我慢をしても、次から次へと発情期のフェロモンがクレエから溢れてきて飲み込まれそうになる。 「あっ……」  おまけに発情しているからなのか、クレエはどこを舐めても敏感に反応して艶めかしい声をあげる。人間よりも耳も鼻も優れている狼のレストにとって、それはいつ決壊してもおかしくない理性だった。  優しくしたい。めちゃくちゃにしたい。甘い言葉で気持ち良くさせたい。本能のまま中を抉りたい。  葛藤しながら、それでも丁寧に愛撫する。  爪で傷付けないようにそっと指先でもう片方の胸の粒を弾くと「ああっ……!」と一際大きな声で喘ぐクレエに理性の殆どが壊れて消えた。  摘んで、くねくねと捏ね、爪の先で周りをなぞり、また弾く。その間ももう片方の粒を舐めては舌で転がす。

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