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第27話
ゆらゆらと揺れているのに気が付いて寝返りを打とうとすると、そこはベッドの上ではなくレストの腕の中だった。
シーツに大事そうに包まれて両腕で抱えられながら移動していた。
何か言おうとしたけれど先刻までの行為で声はすっかりかれてしまい喉がカラカラだった。
身体も重く、指一本動かすことさえ出来ない。
そんな状態のクレエを浴室まで運び、ためたお湯で隅々まで綺麗に洗い流し、中にたっぷり注がれた欲も丁寧に掻き出した後、新しいシーツに包んでベッドまで運びカラカラの喉に水の入った木製のカップを口に添えて飲ませてくれた。
自分だって疲れているだろうに甲斐甲斐しく世話をしてくれる事が嬉しくて、クレエは素直に身を任せた。
まるで、お姫様にでもなった気分だった。普段ならそんな扱いをされたら怒るけれど、レストには甘えてもいいんだと思えた。番になるのだから意地など張ってばかりいないで思い切り素直に好意を示していこう。
そんなふうに思いながら、ベッドの隣に入ってきたレストの温もりに安心してクレエはまた深い眠りについた。
まだ明けたばかりの靄のかかった陽光が窓から射して薄目を開けると、隣にいたはずのレストはベッドから起き上がりすでに出かける支度を終えていた。
「もう行くのか?」
上体を起こして訊くと「おはよう」と振り向くレスト。
「ああ、お前はもう少し休んでいろ。無理させすぎたからな」
クレエの頭を撫でるレストに、昨夜の行為を思い出し顔が赤くなる。
「発情もおさまったようだな」
鼻をヒクヒクさせてクレエの匂いを嗅ぐと、頬をすり寄せてくる。
突発的な発情をおさめるには十分過ぎるほどの愉悦を注がれた。反芻したクレエは更に顔を赤くさせた。
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