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第2話
ここで何をしていると言う問いにライは震えて声が出なかった。
何も答えないライに痺れを切らした野獣が手を伸ばしてくる。
キラリと光る鋭い爪に、ああ、殺される。
そう悟ったライはふっと力が抜けて目の前が真っ暗になり気を失った。
___『穢らわしいΩが。』
『何の為にここまで育ててやったことか。』
ふと甦る記憶。
この世界はα、β、Ωの3つの性に分かれており
βが一番数が多く平凡な性だと言う。
αはβに比べ数も少なく、何と言っても類稀なる才能、カリスマ性を持ち頂点に君臨する存在だ。
そしてその逆の立場のΩ。
彼らはαよりも数が少なく男でも妊娠出来ることが特徴だ。
重要なのがΩは発情期にフェロモンを発し、それに強く惹かれるのがαだ。
αは唯一Ωを性交渉の際に項を噛むことで番にでき、番にされたΩはその相手以外とは結ばれない。
しかしαはを何人も作れ一方的に解除もできる。
解除されたΩはストレスで番が作れなくなてしまう。
故にΩが繁殖目的の一番底辺な存在として扱われている。
ライはそのΩだった。
両親と二人の兄姉はβなのにライだけΩで厄介者扱いされていたのだ。
きっと野獣に見つかってしまったのもΩに生まれてきた罰なんだ。
そうライの頬に一滴の涙が伝う___
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