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第4話
スッと身を引いた野獣はライの予想を裏切り部屋を出て、暫くすると何やら手に持って戻ってきた。
「飯だ、食え。
腹減ってるだろ。」
そう言って差し出されたホカホカのお粥だった。
野獣が差し出す食事だからてっきり生肉なんかが出てくるかと思った。
いや、そもそもセックスを強いられると思っていたから食事を与えられた事に驚きで頭の中は少しパニックになっている。
「あの……」
「ヤるにもその細い体では折ってしまいそうだ。
そうなっては元も子もない。」
意外だ。
野獣というからもっと残忍で理性のない化物と思っていたから。
「お前、名は?」
「ラ、ライ…です。」
「そうか。
私の事はロッドと呼べ。」
「はい。」
「ところで、貴様は私の敷地内で何をしていた?
私をからかいに度胸試しにでも来たのか?」
この質問を投げつけると彼の目つきが鋭くなった。
「ち、違います。
俺…は……」
「何だ?さっさと言え。
私は気が短いのだ。」
ロッドは今にも襲いかかってきそうな勢いでライは慌ててこう答えた。
「に、逃げてきました。」
「逃げる?
何から?」
「家から……。
俺はαに売られたんです。」
ライの家族は皆βで何故かライだけがΩだった。
そのせいで家族からは疎まれていつも罵声を浴びせられて育った。
そんなある日、家に訪問者がやってきた。
その格好は貴族のようで本能的にαなのだと肌で感じ取った。
そのαはライを見るとニタリと不気味に笑いライのはゾワッと鳥肌が立った。
そして畳み掛けるように父はこう言った。
「今日からお前はこの方の番だ。」
そう言い放った父の手元には大金が積まれていた。
ライは売られたのだ。
何処の誰ともしれないαに。
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