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第23話〜3〜

「今日から南様はこちらで過ごしていただきます。」 連れてこられたのは窓がない部屋だった。 でも階段を降りてないから地下じゃないってことは分かる。 初めて見る場所。 そこにはトイレ、お風呂、ベッドなど、いろいろなものがある。 この部屋から出るなってことなのかな。 「食事の時だけは私達が持ってきます。 それでは、決してここから出ないように。」 パタリと扉が閉まる。 横に目をやると本棚にびっしりと本が詰まっていた。 暇つぶしにはいいかもしれない。 『キタヤ』って人が書いた本を取る。 この話の主人公は、学校から帰ってきたら両親が殺されていたという。 主人公はパニックで記憶喪失になるが、以前仲良くしていた友達と関わって記憶を思い出す。 それから犯人を探すという話だった。 読み進めていくと、ある言葉に目を奪われた。 それは主人公の友達の言葉だった。 『お前はひとりじゃないんだ。 辛いなら辛いって言え! 助けて欲しかったら助けてって叫べ! そしたら……俺が喜んで手を差し伸べるからさ。』 いいな… この子には、頼れる人がいる。 僕にもそんな人がいたらいいのに… 「辛い…」 ポソリと呟く。 どうせ誰も反応はしない。 そう、思ってたのに……… 「辛いんだね、南。 優しい優しい千聖お兄ちゃんが慰めに来てあげたよ。」 そこには、ニコニコ笑ってるちさ兄の姿があった。

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