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第57話〜優しい〜

病室までゆっくり歩いていたら突如僕の名前を呼ばれた。 「南!!」 「ハル?!」 「もー、驚いた。休憩しようと南の方向いたらいないんだから。」 ハルは僕を心配して探しに行こうとして、ここでばったり会ったっぽい… 「どこ行ってたの?」 「えっと、あの…」 なんで 僕は今なぜ吃ってしまったんだろう さっきまで白咲さんと居たことが言いづらい… でもハルと約束したから言いづらいということを思い出して納得した。 「南?」 僕がなかなか言わないから不思議がるハル。 どうしよう もしここでさっきのことを言ったらハルに呆れられるかな 約束も守れないなんて…って。 それは嫌だ ハルに嫌われたくない 「な、なんでもない…」 「……そっか。」 僕は、嘘をついてしまった 嘘をついたら後に引けなくなることなんて分かってるのに。 僕とハルの間に微妙な空気が流れる。 けどそこに、病室から場違いな声が聞こえた。 「あ!南ちゃん!!! もう、南ちゃんのお見舞いに来たのになんで本人がいないの〜?」 東さんだ。 「ご、ごめんなさい。 …えっと、ハル。僕、東さんと2人で話したいからどっか行っても…」 「ダメ」 そ、即答… 「俺が休憩がてら散歩行ってくるから2人は病室で話してな。」 ハルの優しさが伝わる なるべく僕を安静にさせようという 僕は嘘をついて、ハルと居づらくて、微妙な空気から逃れようとしたのに。 僕はすぐ顔に出てしまうようだから、きっとハルはわかってるはずなのに。 なんで、こんなに優しくできるんだろう 僕はハルに対して敬愛、愛情、たくさんの気持ちがある。 でも…本当は怖いっていうのもあった。 だってハルは優しいけど、人間関係を壊したり、嫌いな人にハルはちゃんと態度で示してる。 でもその嫌いな人が大事な要件と言えばきちんと聞いてくれる。 僕なら、そんなこと出来ないと思う。 もしまた関わって同じようなことが起きたらって思うから… なんだかんだ言ってやっぱりハルは優しいんだ。 そんなハルが時々怖いと思うのは、ずっと秘密にしたいと思ってる。

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