「えっ。み、南？どうした？どっか痛いのか？？」 「ｯち、がくてｯ！ 僕がこんなこと話したせいでｯ、ハルがだんだん難しい顔になってくｯ」 今度こそ南は大泣きした。 ど、どうしよう きっと俺は慌てすぎて、思考回路がダメになってたかもしれない。 動揺した俺はつい、南にキスをしてしまった。 それもフレンチ・キスを… 「ん、ふぁｯ」 南は泣きやんだはいいものの、この後俺はなんて言えば… 「ぁｯ、ハルｯ」 必死に抵抗する南に俺はキスをやめた。 さっきとは違う微妙な空気が流れはじめる。 「ハル…」 両手で口を押さえて赤面している南。 「えっと、ごめん…」 「いや、大丈夫だけど… だって僕達………あっ！」 何かを思い出したように、俺と目が合う。 どうやら俺が聞いた他にも何か言われたらしい。 俺が聞いたのは由理花に牽制されたことと、ハルから離れようと思ったこと。 「えっとね……白咲さんに僕達とはどういう関係って聞かれて… 答えられなかった。」 「……どうして？」 「僕達両想いだったことは分かったけど、付き合うとかの話にはならなかったから…」 びっくりした… 答えられなかったと聞いて男同士だからなのかと思ってしまった。 でも確かに、自分の気持ちを言っただけで俺らは満足してたのかもしれない。 俺は改めて南に向き合う。 「ごめん、ちゃんと言わなかったから南を混乱させちゃったな。 俺と…付き合って欲しい。」 「ｯもちろん」 南は可愛く笑った後、今度はそっちから俺にキスをした。 唇が軽く触れる程度だけど、それだけでも南は恥ずかしかったみたいで布団の中にモゾモゾと入っていく。 「南？どうしたの？」 「は、恥ずかしいから今は顔合わせたくないぃ…」 「なんで？嬉しかったよ？ もっかいしてくれたら嬉しいのになぁ？」 「今のハルなんか意地悪！！」 一気に場が和んだ気がする。 俺がやってしまったフレンチ・キスが、案外今の雰囲気に繋がったのかもしれない、と思ったり… 今のは完全に思い上がりだ。 だからこれは心の隅にそっとしまっておこう。