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第65話〜夜中〜
辺りもすっかり暗くなりそろそろ寝る時間になる。
「一緒に寝るのなんか久しぶりな感じだね」
「そうだね」
完全にお泊り会をしてる気分だ。
俺たち2人はベッドで寝転びながら話していた。
「あ、そういえば南。退院したら出かける前に……あれ?」
またしても寝てる…
でも今日は疲れただろう。
南の頬をそっと撫でる。
本当は俺だって南をいっぱい甘やかしたい。
さっきだって俺の方が南に沢山キスをしたかった。
でもそれだと多分…
俺の理性が壊れそうで怖い
「はー……家帰ったらどうしよ」
南と約束してしまった。
約束を破るつもりは無い…が、理性が保つかどうか。
もし襲ってしまったらどうしよう
南のトラウマを掘り返してしまうのではないだろうか。
その時だ。
「うぅん…ハ、ル…
チャーハン…食べた…い」
「…ぷっ」
なんだその寝言は…
南は寝ていても癒しパワーを発揮するのか。
今ので俺はさっきまで考えていたことを忘れてしまったではないか。
………それで良かったのかもしれない。
今うじうじ悩んでも意味が無い。
その時になったら考えよう。
そう思ってた時
病室の扉が静かに開いた。
見回りだろう
俺は扉の方を見ると、そこに居たのが由理花で驚いた。
何故この時間帯にいる…
今日昼にいたのだからもう帰ったはずだろ
南に言ったことを思い出してイライラがまた出てくる
由理花は南に近づき何かをしようとしたので慌てて止めた。
すごくびっくりしていた様子から見るに俺がいたことに気づかなかったのか
「しー…
南が起きる」
俺はそっと由理花に囁く。
何かに怯えた由理花は涙目になりながら静かに頭をコクコクしていた。
俺と由理花は普通に話せる場所に向かい、病室を後にした。
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