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第66話〜2〜

「ん、ハル…?」 扉の動く音がして起きた。 横を見るとハルがいない。 けどまだシーツが暖かいから今出てったのかも… ハルがいないと不安になる ここにはいないって分かってるのに、何故かちさ兄達がいる気がしてしまうんだ ハルがいなきゃ、どうしても藍川家での生活を思い出してしまう… まだ遠くに行ってないはず… 僕はハルを探しに廊下へ出た。 3分くらい歩いた頃、遠くから話し声が聞こえた。 ハルと白咲さんだ… 内容はと言うと、僕のこと… 詳しく言うと白咲さんが僕に言ったことだ この位置だと2人の顔が見える。 白咲さんは必死な形相でハルに話しかけているのに、ハルはというと… 淡々とした、まるで作業のように白咲さんに受け答えをしていた。 あまりにも2人の態度が違いすぎるから、ほんとに2人が話しているのか分からなくなる。 実は他の人に話しかけてるのではないのか…と。 でも実際ここにいるのは僕と2人だけ。 2人が話してるのは確実 僕は1人でうんうんと納得した。 ……いや、こんな馬鹿げたことを考えてる時じゃない。 僕は2人の会話を聞き入る 「…ねぇ!晴君にとってあの南って子は何!?」 「恋人」 「ッうそ、嘘だよ。だってあの子は何も言わなかった!ねぇ、嘘だよね??」 「嘘じゃない、全部ホントのこと。 あの時の南と俺は…うーん、なんて言うかな。 両片思いってやつ?いやでも南も俺も両想いなのは分かってたし…」 途中で悩み始めたハル 呆気に取られた白咲さんは口をぽかんと開けている。 そりゃそうだろう さっきまでなんともないように見えた相手がいきなり悩み始め、自分の言葉そっちのけなんだから。 その証拠に最初は呆気に取られてた白咲さんも、だんだんと怒り顔に変わっていく。 「晴くん!今そのことはどうでもいいよ! ていうか晴くん男と付き合ってんの!?超気持ち悪いんだけど!」 「お好きにどうぞ」 「私と付き合ってた時の晴くんはどこ行ったの!?男と付き合うなんて、そんなの晴くんじゃないよ…!」 「今の俺を決めるのは俺だしこれからも俺だ。 お前に決められる筋合いはない。」 「ッッ! そう、そうよね。私が悪かったわ。 ……でも晴くん、男と付き合う必要は無いんじゃないかな」 「は?」 さっきまで黙って聞いてた僕だったけど、これには疑問が生じた。 どういうことだろう 言い方を変えればハルは無理やり僕と付き合ってるって言ってるような… 「どういうこと?」 ハルも疑問に思ったのだろう。 僕の聞きたいことを代わりにハルが聞いてくれた。 でも白咲さんの言葉は、僕を苦しくさせる。 聞かなきゃ良かったと、思う程に………

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