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第81話〜サービスエリアにて〜

優が訪問してきてから5日経った頃だ。 今日は南と水族館に行く もちろん泊まりで。 「南〜、もう行けるかー?」 「うん!」 南はパタパタと走りながら俺のところまで来た 南は黒のニット帽にカーキ色のパーカーを着て大人っぽく見えるのだが、顔が幼いのででただ可愛いしかない 「?どうしたの?」 「ん、可愛いなと思って。 やっぱそれ南に似合うな」 「へへ、ありがと」 照れたのかニット帽をキュッと掴んだ。 こういうところも可愛い それに、前一緒に買いに行った服を着て、こうして俺の隣で歩いてくれるのが何よりも嬉しい 俺は嬉しい気持ちでいっぱいの中、車を走らせる。 昼頃にサービスエリアに着いたのでここで昼食をとることにした。 すごく視線を感じる 視線を送るのは殆どが男で、皆南を見ていた あからさますぎないだろうか… すぐ近くの男なんて隣に彼女らしき人がいるのに、彼女には今、後頭部を見せている 彼女もそれに気づいて不機嫌だ 確かに南が可愛いのは知ってるし、見つめたくなるのもわかる けど南は俺ので、本音を少し言えばあまり南を見て欲しくない 誰かの頭に南がいるのが嫌なんだ… もし誰かに話しかけられたらどうするんだ いや俺が話させないのだが。 南には悪人面をして歩いては欲しいが、南はどうやっても可愛いのでせめて顔を隠して歩いて欲しい でも俺のこの思いなんて知らず南は俺と手を繋いでニコニコしている 何だかその笑顔で、そんなのどうでもよく思えた。 俺がずっと南と居ればいいのだと分かったからだ 「ハル…」 「ん?」 「僕、あれ食べてみたいんだけど全部食べ切れるか不安で…えっと、」 「いいよ、半分こしよっか」 「ッ!うん!」 ぱあっと笑顔になった南にまた周りの人が釘付けになる 南の魅力がこれ程までとは… 今から水族館に行くのだが、そこでも心配だ 俺は決して南から目を離すまいと心に誓った

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