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第85話〜4〜
驚いて固まっていたトレーナーだったが、一瞬でまた元に戻った。
流石プロと言うべきだろうか
「は、はい!予想外な人にびっくりしちゃいましたね!
気を取り直して、2人にはイルカをジャンプさせてもらいますよ〜!」
俺たち2人はトレーナーの方にわかりやすく教えてもらい、イルカをジャンプさせることが出来た。
無事…と言えるかどうかは分からないが、イルカショーも終わり俺はサングラスとマスクを身につけた。
するとどこから現れたのか2人の女性が声をかけてきて、驚いた南は咄嗟に俺の後ろに隠れる。
「あの〜、キタヤさんですよね?
写真いいですか?」
「私達ファンで!」
困った
これが嫌でマスクとサングラスまで身につけていたのに…
「あ〜、と。すいません、今プライベート中なんで…
あと一応、SNSにも投稿するのも控えて欲しいんですけど…」
「あっ!そうですよね、分かりました!
会えてよかったです!ありがとうございました!」
けれどこっちも仕事上読者を無下には出来ない。
一応握手だけしておいた。
そうすると彼女達はとても喜んで去っていった。
話がわかる人でよかったと心から思う。
あ。
また、南が嫉妬してくれたり……と少し期待を膨らませながら振り向くが、俺の希望は見事に崩れた。
南は意外にもあっけらかんとしている
「あれ、南……?」
「?どうしたの?」
「あ、いや、今俺声かけられたんだけど…」
「うん」
いや、『うん』じゃなく……
南は俺が思ってることが分かったのか「あぁ、」と声を発した
「僕ね、ハルにもう嫉妬しない」
「え?」
「ハルが人気者ってことは知ってるし、嫉妬してもどうもならないってことも知ってる。
僕の嫉妬は…ドロドロして気持ち悪いから、もう嫉妬しないの。
そっちの方がハルもいいでしょ??」
「ッばか!」
さっきまで悲しそうな顔をしてた南だが、俺の言葉に素直に驚いていた
「俺嫉妬しないとか言われて傷ついたわ!
南が嫉妬するのは俺が好きってことだと思ってる。
俺南にそう思って貰えるの全然苦じゃないよ。」
「………ッ」
南の目がだんだん潤っていき、そして静かに涙を流した
「僕ッ、本当は胸がぎゅってなったッ
嫉妬してもいいの?
気持ち悪くない?」
「全然」
俺は南の頭を撫でる
というか、あまり時間が経ってないとはいえ周りには人がまだいる。
傍から見たら俺は一緒にいた子を泣かすヤツで最低では…?
いや、他人は関係ないよな。
俺は人が少なくなるのを待ち、その後南と手を繋ぎながら会場を出た
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