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第96話〜プロポーズ〜

「なぁ南。今から俺は唐突すぎることを言うけど、ちゃんと聞いて欲しい」 「?うん。もちろん。」 南の前に俺は跪いて話し始めた。 「俺は南が大好きで大好きで仕方なくて、大好きじゃ足りないくらい愛してる。 俺の恋人はこれからも南しかいないと思ってるし、南じゃなきゃダメだ。 ずっと南といたい。 それを形にしたくて………」 俺はカバンを探る。 手に硬いのが当たった。これだ。 「俺と結婚してくれませんか?」 南の前に、きらきら光る星のように美しい指輪を差し出す。 「この指輪ってもしかして…」 「うん、婚約指輪。 もしOKなら、結婚指輪も買おっかなって…」 「〜〜〜〜〜!!」 南は無言で俺の首に抱きついた。 返事はOKでいいのだろうか…? 浮かれて勝手にそう思い込んでいたら恥ずかしい。 「…南さん?」 「も〜〜〜!ほんとに唐突だよぉ! ……ッいいに決まってる、僕もハルじゃなきゃ嫌だ。」 首筋に何か生暖かい水が落ちてきた。 もしかして、泣いてるのか? 南は俺に抱きつくのをやめ、まっすぐと俺の顔を見た。 「今僕、幸せ」 「ん、俺も。」 そして俺達は静かにキスをした。 「ん…ふぁ、あ…ね、ハル。」 「ん?」 「ちょうど今頂上だよ。 もしかしなくてもハル狙った?」 「狙った」 「すごいロマンチック」 「そういうの嫌い?」 「大好き」 あぁ、ほんとに幸せだ。 勝手に口元が緩む。

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