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第116話〜ガトーショコラ〜
ガトーショコラを初めて食べた南は、よほど気に入ったのかさっきからずっと食べることに夢中だ。
「え〜南ちゃんカーワーイーイー!!俺のもあげる〜!」
「えっ!おかわりあるから大丈夫だよ?!」
「あげたい気分なの〜。はい、どうぞ〜」
「あ、ありがとう…」
2人の様子を見ていたが…もしや俺と奏斗の立場逆なのではと思えてきた…
何故か…対抗心を持ってしまった俺は南に自分の分のガトーショコラを分けようとしたら、拒否された。
「東さんから貰ったからもういいよ!それにお代わりもあるし…!僕こんなに食べれないよ…」
「いや俺もあげたい気分で…」
「ハルもなの!?」
2人であげるや要らないや言い合っていると横から手が伸びていき、南のガトーショコラを取って行った。
「はい 、これで万事解決〜!僕って頭いい〜」
優はニコニコと食べている。
「優…ありがとな」
「えへへ〜」
確かに。これならば南は奏斗の分も俺の分も食べられる。
それを理解した南も感心した顔で優を見ていた。
なのに………
「うっわどんだけ食う気だよ豚になるぞ…いやもう豚だから仕方ないのか。」
奏斗のこの発言で、さっきまで和やかだった空気は固まる。
やばい…
ここで喧嘩を始めてみろ。俺と南の家が赤く染ま…いやそこまではいかないが。
少なくとも家具は壊れる。
「お、おい…」
喧嘩はやめろ。そう言おうとした時、優の表情に気づいた。
笑ってる…?
可笑しい。
いつもなら、真顔でキレてるのに…!
「えー?2人ともどうしたのー?もー、変な顔!」
二人の仲が悪いことも、いつもならもうとっくに優はキレていることも知っている南も驚いている。
すると、急に優の笑顔が黒くなったのがわかった。
「てかこの部屋なんか青い虫がいるよ〜。さっきからうるさいよね〜!ガトーショコラも取られちゃうか僕心配〜」
「ほぉ〜、青い虫ってどこのどいつのことかなー?んー?
あとテメェのケーキなんてとらねぇよバカ!」
「やだ〜またなんか聞こえる〜!キモ!!!!」
俺の勘違いだった…
いつも通りの2人だった…
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