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第120話〜南との時間〜
〜晴也side〜
最初は少しの違和感
でも確かめてみるとそれは確信に変わった。
お菓子作りが終わってから、南はずっと優を見つめている。
なにか優にあるのだろうか?そう思って俺も優を見つめてみた。
それでもほんとに何も無くて、いつもの優だった。
「なぁ…」
どこ見てんの?
そう聞こうとした時、南の顔が目に映る。
少し頬を赤らめていて、まるで恋をしている顔だ。
嘘だろ……?
信じたくなくても、今起きていることはホントなのだから、受け入れるしかない。
南は、優が好きなんだ。
多分、俺はお荷物なんじゃないか?
俺と南は付き合って、一緒に暮らして……でもそれは優も知っている。
俺と別れれば、南はやっと本当の気持ちを告げられる。
本音を言うと悲しくて悔しくて、胸がぎゅっと締め付けられるほど苦しいのに、南のためだって思うと何故か言えた。
一生言わない言葉だと思った。
「南。別れよう。」
言った直後、南の瞳が揺れた。
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