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第122話〜3〜
いつもより早く起きた。
時計を見ると5時で、早く起きすぎたと後悔する。
「寝れない………」
あ、今日奏斗が来るんだった。
荷物をまとめないと…
隣には心地よく眠る南
これからもずっと一緒にいるような気分になる。
そんなはずないのにな…
南は優が好きなんだ。
例え優が恋心をもっていなくても、いつかきっと好きになる……気がする。
だって南の魅力に気づかない奴がいるか?
いや、いるかもしれないが…そいつは大馬鹿者だろうな…
大抵の人だったら南に好意を抱かれていると知ったら一瞬で南のことを意識しだすだろうから。
優が………羨ましい
早く、この気持ちを抑えないと………
俺は荷物を纏めるも、思ったより早く終わってしまい暇になった。
今の俺は何か忙しくしていないと直ぐに泣いてしまいそうになる。
こんな顔、絶対南には見せられないな……
「きっつ…」
落ち着く為にも珈琲を入れた。
さて、本格的に何をしよう…
今は6時過ぎか。
特にすることもなく、ただじっと時計を見ていると寝室の扉が開く音がした。
この家には俺とあの子しかいない。
ということは…
「あれ。南今日早いんだね」
「ぅん…」
元気が無いように見える。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
下手くそな笑顔でまた胸が締め付けられる。
こんな顔、見たくなかった。
南にはいつも、笑顔でいて欲しかった。
「朝ごはん何食べたい?」
ここで南にご飯を作るのもこれで最後だ。
「………パンケーキ」
「了解」
出会ったばかりの時と同じ朝食だ。
でもその時と決定的に違うのはこの場の空気。
あの時と、全然違う。
なんだよこの暗い空気は………余計きつい…
俺がパンケーキを作ってる間、南はチラチラとこっちを見ていた。
そんなにお腹すいてたのかと驚く。
作り終えて、テーブルの上に置くと少しだけだが、南が笑った。
今度は偽物じゃない、本物の。
なぁ、南が抱いてた俺への気持ちも本物だったと信じていいよな?
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