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第123話〜逃〜

いや疑うな…! いかん、今の俺は疑心暗鬼になりかけている。 南がパンケーキを食べている間、俺はずっとその様子を見つめながらぼーっとしていた。 「は、ハル…?」 「ん?」 「そ、その…見つめられてると食べにくいっていうか…」 「あ、あぁ…ごめん」 いつの間にか南を見つめていた。 未練タラタラだ… 「俺、仕事してくるから何かあったら呼んで」 「…わかった」 また…逃げてしまった。 でもどんな顔して南に接しればいい? もう普通に接するなんて俺には出来ない。 椅子に座りながら上を向いてると、勝手に涙が流れてきた。 「…は?」 なんで とめようとしてもボロボロと流れてくる。 こんなのじゃ仕事に集中なんてできるわけが無い。 「どうしよ…」 そう思いながら何時間経ったんだろう ただ俺は天井をじっと見て時間を過ごしていた。 何もやる気が起きない。 でもその時、家にインターホンの音が鳴り響いた。 「あ……奏斗…」 もう流れてくる涙なんてない。 目元も腫れていない。 泣いていたことなんてバレないだろう。 俺はそのまま奏斗を家へ招き入れた。

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