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第133話〜ハルと女性〜
〜南side〜
「ハル………」
僕は誰もいない部屋でぽつりと呟く。
それは30分ほど前の事だ。
東さんの家に向かっている途中で、僕達はレストランでご飯を食べていた。
するとある人物が目に留まったのだ。
「東さん…あれって…」
「ん?あ、晴じゃん!」
やっぱり。
何してるんだろう。
車から出たハルは…
………ん?ちょっと待って、あれって…
「…女の人…?」
………もしかして、別れたかった理由はそれ?僕じゃない好きな人が出来たから…?
そっか。そうだったんだ。
「南ちゃん?どした?」
「…なんでもないですよ」
「…一応言っとくけど、あの女の人、」
「ご飯が冷めちゃいますよ!先に食べましょ!」
それ以上聞きたくなくて、無理矢理にでも話を逸らした。
でも2人から目は離せなくて、何をしているのか気になってしまって、僕はご飯を食べながらじっと見ることにした。
ハルは携帯を女性に見せている。すると女性は飛び跳ねて喜んだ。
今度は女の人は嬉しそうで、ハルは…………照れてる…
そして2人はどこかへ消えてしまった。
前に僕に向けてた顔は今あの女の人に向けている。
僕のハルなのに…なんて自分の汚い部分が出てきてしまう。
もう別れたのに何とも見苦しい。
その時気づいた。
ハルに指輪返してない!!!
どうしよう。これはハルが僕にってくれたものだけど、流石に申し訳ない。
「あ、東さん…!この指輪、ハルに返さなきゃ…!」
「え?なんで?」
「なんで…って、そりゃ、」
「別れた人から貰ったものをずっと持ってるのは嫌?たとえその人が好きでも?」
「嫌…じゃないけど、申し訳ないし…」
「んー。でも返される方も迷惑じゃない?」
迷惑?
意味が分からない。
「まぁ、晴そういうの嫌いっぽいしやめときなー」
「…分かりました。」
ハルが嫌うならやめよう。
最後までちゃんといい子でいたい。
本当は縋るほど別れたくなかった。
でもハルが決めたことなら…僕はちゃんと従うよ。
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