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第138話〜東さんの優しさ〜

 カレーを食べると、東さんは目をキラキラさせて話しかけた。 「何これちょーうまいんだけど!南ちゃんが嫁になってくれたら嬉しい〜!!…あ、冗談だから真に受けないでいいよ〜」 「ふふ、分かってますよ」 でも、お嫁さんかぁ…………… ハルがお婿さんだったら、どんなに素敵なんだろう。 いや、今はご飯に集中! 僕は頑張って作ったカレーをまた食べ始めた。 「ふぃー。腹いっぱい〜。 そうだ、寝るところって………あ。」 東さんが話してる時、携帯のバイブ音が部屋に響く。 顔をちらりと覗くと、少し不機嫌な顔で、もしや優さんかな?と想像する。 「ん、話は聞いた。今は俺の家だけど。…………あー、なるほど。んじゃ明日会わせる。」 そう言って切ってしまった。 「あの…」 「あぁ、優だよ。つか明日ここに晴がくるから」 やはり優さんで僕の予想は当たっていた。なんて考えているのも束の間、信じがたい言葉を放つ。 「えっ、えぇ!!?!?」 「明日ちゃんと話そーね。んじゃ今日はもう寝よー」 そういった時、何かを思い出したように東さんは『あぁ!!』と声を上げた。 び、びっくりした……… 「寝るところ南ちゃんベッドでいいー?」 「あ、はい。」 「ありがと〜」 何も気にしていなかった会話。 でもそれは寝室に入って焦る。 「東さん!!僕やっぱり布団がいいです!!この家の主は東さんです!どうかベッド使ってください!!!」 「俺は布団で寝まーす。異論は認めませ〜ん」 「東さん!」 話を聞く気がない… すると東さんは急に優しい顔になった。 「俺家に招いた人には快適に過ごして欲しいし、南ちゃん晴の家でもベッドだったんでしょ?なら慣れてるベッドの方がいいっしょ」 ここまで言われると何も言えなくなる……… 「……ずるいですよ」 「あはは、よく言われる!」 そう言って僕達は寝室を出て、一人一人お風呂に入っていった。 明日はハルに会う。 ちゃんとゴメンって伝えて、ちゃんと話を聞こう!

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