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第142話〜誤解を解く〜

 夜になって、またもや優は来た。 「あれ?南くんは?まだいないの?」 「……………………」 「…なんて言われたの?」 昼のような気まづさはもう無い。  俺は落ち込みながらも、ちゃんと優に事の経緯を伝えた。 「あーそっかー………。んーーーーーーよし!明日また会いに行こ!」 「は!?話聞いてたか!?南は俺の顔見たくないんだぞ?!」 「でもそれは一時的じゃん。大丈夫だって、明日ちゃんと話そ!」 俺と違ってとてもお気楽だ。 いや実際そうか。 ていうか、 「なんか疲れてない?」 「ん?あ、あぁ…気にしなくていいよ」 「ふーん…ソファ座ってて。お茶持ってくるわ」 「〜〜〜もう!そういうとこだよハルくんは!」 優がいきなり叫び出して驚く。 「好きでもない子にそんな優しくしたらダメ!ハルくんにそんなことされたら誰でも勘違いしちゃうの!僕みたいに!」 「ッ」 俺のこれは、普通の感覚でやっていた。 けど他の人から見たら俺はやさしい男に見えるのだろうか? 勘違い…してしまう人が出てしまうのだろうか… 俺がだまっていると『わかった!?』と勢い良く聞かれ、つい返事をしてしまった。  そして次の日。 なかなか元気が出ず、俺は何故か優の後ろに隠れていた。 「暑っ苦しい!ハルくん離れてー!」 「いやいや、なんか怖いじゃん。」 「何が!?」 そうやって少し言い合い?をしていると、気分が紛れて楽だった。 遂に奏斗の住むマンションに着いてしまい、ドキドキしながらも部屋の前まで行く。 俺がインターホンを押すか迷っていると、優は遠慮なく押していった。 扉が直ぐに開く。 なんと出てきたのは南で、誰の顔も見ず、いきなり謝ってきた。 ちゃんと俺のことを考えてくれていた! その事に嬉しくなった。 南は目の前にいるのが俺じゃなく戸惑っていたが、優が話しかけてくれたおかげで、南は俺の存在に気づいてくれる。 「……俺も、ごめん。ちゃんと話そう。」 「うん。」 久しぶりに、南の笑顔を見た。

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