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第144話〜仲直りの印〜
「うっ、ッく、」
ハルは何も言わず、一定のリズムで背中を叩いてくれる。
「ハル…もういいよ、ありがとう」
「そっか。……………ふふ」
「?」
急に笑いだして、不思議に思っていると不意にちゅーをされた。
「ハ、ル!」
「ごめんね、嬉しいんだ。本当に…」
頬を包み込むように撫でて、またやるのかと思いきや、それは優さんの声で無くなった。
「はいそこイチャイチャしなーい!
まったく、僕達が気利かせて部屋移動したのに……いつの間にかここら辺甘い空気になってさ!それは自分たちの家でやってよね!!」
「あ、優さん…ごめんなさい…」
冷静になると、僕がどれだけ迷惑をかけたかわかる。
それでも一度も怒らず、背中を押してくれた。
「あの…ありがとうございました…。
優さん達がいなかったら、僕ずっと勘違いしたままで……」
「は!?いや、自分でいうのも何だけど元は僕が悪いでしょ!
謝らないで!余計申し訳なくなっちゃう!」
あ。
これ、前にハルに聞いた。
優さんはテンションが上がるとぶっきらぼうな物言いをしてしまうらしい。
可愛くて、少し笑ってしまう。
「ちょっと〜?何笑ってんの〜?」
僕が笑っているのを目敏く見つけた優さん。
「あっや、なんでもないです…!」
「ふーん?」
そんな会話をしてる時、今度は東さんが来た。
「よーし、無事仲直りしたってことで〜……家出てってね!」
「あ…、短い間でしたが、お世話になりました…!」
頭を下げると、東さんは優しく抱きしめた。
「ほんとだよ〜!!寂しい〜!!
あ、そだ!」
なにか思い出した素振りを見せると、彼は僕の耳元でそっと囁く。
「晴がされて嬉しいこと教えてあげるー。仲直りのお祝い?ってことで!
晴ってさ、たまーにMな所があるからなのか、好きな子に見下ろされるの好きなんだよね〜」
えっ…
ぜ、全然想像つかない……!
そして僕は思い出した。
「あ、あの……前にやったか、も……?」
「ッまっじでぇ!?!え、どんな感じだった!?」
急にテンションが上がった…!
ていうか、どんな感じって…………
えっちしてた時だからハルのモノが大きくなって………あ、だめ…
思い出してしまい顔が紅くなる。
それを見て東さんはニヤニヤしだした。
「あー……そゆことね、うん。ヤってる時にやっちゃったかー。そら大きくなるな〜…」
…………ほんとにこの人は人の心を読むのが上手い。
「なぁ2人で何してんの?てか奏斗、いい加減南から離れろ」
「あっ、ごっめ〜ん」
ハルが少し不機嫌な顔をしながらも、僕の手を握る。
暖かい……
この体温で、ハルが生きてるってことが分かる。
夢じゃないって現実が教えてくれる。
嬉しい……
僕の口は、自然に上がっていた。
「さてと、もうここには用ないし、行こっか。」
「うん。」
ハルは自然に僕の荷物を持ってくれた。
「ハル!それ僕が持つよ!?」
「…ん?あー、これ……いいよ南は持たなくて」
「でも……」
申し訳ない。
だって、荷物の準備もハルがやってくれたんだ。
僕がしょぼんとしていると、ハルは『じゃあ、』と声をかけた。
「俺のお願い聞いてくれる?」
「?勿論!」
「その……恋人繋ぎしたい…かな…。
あー恥ずかしい……ごめん、かっこ悪いよね。」
いや、全然………!
照れていて可愛いとさえ思ってしまう。
でも何故かその照れが移ってしまったのか、僕も何だか顔が熱くなってきた。
でも、僕も繋ぎたい。
ドキドキしながら、ハルの指に自分の指を絡ませた。
すると僕のカッコいい彼氏さんは、眩しいくらいの笑顔をしたのだった。
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