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第158話〜不機嫌な男の子〜
「僕は今怒ってます。」
むぅ…とした顔で突如南が呟いた。
「どうしたの?」
「っ〜〜!ハル!!また僕の目の前で舐めたでしょ!!」
「え?何を?」
少し意地悪をしてみる。
すると今度はさっきよりも口を膨らませ、睨んできた。
睨む…といっても、ただ小動物が威嚇してるみたいなもので、怖くもなんともないが…………………
「もう!今日のハル意地悪っ!」
そう言いながらも俺と手を繋いでいるということは、本当に嫌いになったという訳ではないのだろう。
そんな感じで俺達は楽屋に向かった。
「あ、先生と南くんおかえりなさぁ〜い」
花さんのおっとりとした声が耳に入る。
それでも南は気持ちが収まらないのか、未だに口を膨らませていた。
「あれ、南くんご機嫌斜めですかぁ?んーー?もしかしてトイレでなにかしましたぁ?」
奏斗と同じで、相変わらず花さんも勘が鋭い。
その上南が分かりやすく顔を赤くさせたので、花さんは確信したらしい。
「もぅ〜、この後サイン会なんですからぁ、そういう事はイベントが終わってからにしてくださいよぉ〜」
「はは、すみません」
俺が苦笑していると、ひょこっと蛍さんが顔を出した。
「え?なにって………何ですか??」
「あーーーー…………けーちゃんは知らなくていい事かなぁ〜」
「えっ!私だけ除け者ですか!?」
「そんなんじゃないですよぉ〜。
あ、先生、あとは本番だけなので、ここでゆっくりしててください〜」
そう言って二人は楽屋を出ていった。
二人が出て行ったあとも、未だに南は不機嫌である。
俺はなんとか機嫌を直そうと試みたが…………………ダメだった。
そのまま俺のサイン会は始まった。
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