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第159話〜2〜

〜南side〜  たくさんのファンの人が来てる… その一人一人にしっかりと対応して、笑顔なハル こんな素敵な人が実は僕の婚約者…………。 だめ、優越感に浸ってしまう…! でも……心で思うだけだしいい…よね? そう思いながらずっとハルのことを見つめていた。 「先生!私、先生の大ファンで、何度も読み返しちゃいます!」 「はぁ〜〜〜先生本当に美しいですね!!えっ、隣の子は誰ですか!?すっごいすっごい可愛い子なんですけど!!!」 「先生、何ページの何行目のこの部分、すごく良かったです。 それとこの心理描写、とても感動致しました……」 先生のファン達は、自分の感想を述べながら、たまに僕のことに関心を持ってくれたりして、見ているだけでも楽しかった。 これまで順調で、何となくファンの人を見ていると、ふと見たことのあるような顔がいてモヤモヤする。 誰だろう? でも初めて会った気がしない… それでも彼は僕に気づかず、ハルにサインを書いてもらっていた。 しかし彼が帰る頃、バッチリと目が合ってしまった…! 「え、藍川!?」 あ、やっぱり… 会うのは初めてじゃないみたい。 でも…… 「ご、ごめんなさい…えっと……」 「っあ〜、そうだよな。こんな姿じゃわかんねぇよな」 ???????? 僕の頭上には沢山のクエスチョンマークが浮かぶ。 「俺は、」 「すみません、時間切れです。進んでください」 僕が名前を聞く前に、彼はどこか行ってしまった……………  その後もサイン会は続いたが、僕はさっきの彼が誰なのか未だに思い出せず、ずっとモヤモヤしていて、あまりサイン会には集中出来なかった。 後々考えたら、勿体ないことをしてしまった…!!  昼休憩が入り、僕は飲み物を買いに自販機へと進んだ。 ハルと行きたかったけど、ここだとよりハルだとバレやすい…… 悲しいけどハルのため。 僕は一人で買いに行った。 けれど突如角から腕を掴まれ、それは叶わなくなったのだ。

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