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第167話〜我儘〜
〜晴也side〜
目の前にいる南は真面目な顔で書いているが、たまに眉をひそめるなど表情がコロコロ変わっていて可愛い。
「書けたけど…字汚いから読めないかも…」
そう言いながら俺に紙ナプキンを差し出してきた。
【しっとした所
・尾形さんとハルがカップルみたいな仲に見えるほど仲良かった。
・けいさんがハルのことをねらっていた。ぼくの婚約者なのに…
・女性のファンの人ほとんどが、顔を赤らめていた。ぜったい気がある!
あと、一目惚れしたって言う人もいた!】
紙には南の思いが全て書かれていた。
特に2つ目の最後に書いてある『ぼくの婚約者なのに…』の所は相当恥ずかしいのだろう。
通常の大きさより小さい文字になっている。
俺は南の不安を少しでも消したくて、一つ一つ対処していく。
「ふふ、南の気持ちが知れて嬉しい。
んーと、まず1つ目。南にとってそう見えたならごめんな。でも担当編集者だし距離を置くのは難しい…。」
「うん…分かってる。僕のわがままだもん……」
悲しい顔をした南に、頬を軽く抓った。
「?!ひゃ、ひゃる!?いたくないけどどうひたの!?」
「俺はそんな悲しい顔をさせたくて言ったんじゃないの。ちゃんと最後まで聞きなさい。」
「…わかった」
南の言葉を信じて手を離す。
南がずっと笑顔でいられるように…
ずっと幸せでいられるように…
これは俺の我儘でもあった。
南のための…我儘
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