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第169話〜2〜
そんなある日のことだ。
奏斗と飯を食いに行っていると、ふと花さんを見かけた。
一緒にいるのは誰かわからない。
「うっひょぉ〜〜あそこにいる2人めっちゃ美人じゃーん!」
「右にいる人俺の担当編集者さんだ……」
「マジで!?
でも相手女性なんだ。晴を好きになったりしないのかなー。」
「うーん、どうだろう。でも初めて会った時女として興味ないって言われた。」
「えぇーそれ信じるのかよー」
最もだ。
それでも多分、花さんが言ったことは本当だろう。
根拠はないが、何故かそう思えた。
そんな話をしていると、花さん達は何故か路地へ行ってしまった。
何をしに行くんだろうか。
俺達は近くにあるファミレスに寄るついでに、ちらりと路地のほうを見た。
「ん?!!?」
しまった…!
思わず声を出してしまった…!
いや、けれど……
花さんと女性がキスしているところを見て声を上げずにいられるだろうか。
知り合いがそういうのをしているのを見るのは………なんとも気まずい。
「わぁ〜お。」
奏斗も驚いたのだろう。笑ってすらいない。
「あ、先生〜!」
気づいた花さんが話しかけてくれるが、相手の女性は顔を真っ赤にしている。
女性は花さんにコソコソと話した後、どこかに行ってしまった。
「うふふ、見ちゃいましたかぁ〜。まぁでも、隠すつもりはなかったんですよぉ〜?
ほら、最初に言ったじゃないですか。女として興味ないって〜」
あぁ……なるほど。
そうだったのか。納得した。
「……へぇ〜」
さっき俺と話していた内容に合点がいったのか、奏斗も俺と同じ気持ちだろう。
「えっとぉ、そちらは先生のお友達ですかぁ?」
奏斗の存在に気づいた花さんは、控えめに聞いてきた。
「俺?俺は東奏斗っていいまーす!奏斗って呼んでくださーい!」
「私のことは花ちゃんって呼んでくださいねぇ〜」
「オッケー!花ちゃんね!!」
奏斗の軽さには相変わらず驚いた。
しかし花さんは気にしてないようだし何より嬉しそうだ。
俺がここでとやかく言うのは野暮だろう。
そしてこのまま俺たち3人はファミレスでご飯を食べ、親睦が深まった。
何より、絶対的に俺に惚れないという確信が出来たのだ。
この人とならしっかり仕事が出来そう…
今までレズビアンの人とは会ったことがなく、これが初めてだった。
これまでずっと女性には警戒しており、初の信じられる女性が花さん。
だからだろう。
ついつい安心しきってしまい、いつもの様に振舞ってしまっていた。
仮にも彼女は仕事上での関係。
もし南が他の人に、人見知りもせずいつもの様に振舞っていたら…………………うん。嫉妬する。
俺は知らずのうちに花さんを友達感覚で接していたみたいだ。
これからは気をつけよう。
南にこの事を話すと、心底驚いた顔をした。
「そ、そうだったんだ……僕、勝手に嫉妬して…」
「ふふ、でも分かってもらえてよかった。
…………………けれどカップルみたいに見えたなら本当にごめんな。俺は友達みたいに思ってたけど、南からしたら違ったんだよな。」
「…………ぅん」
「じゃあこれからは気をつけるし、一つめ解決でいいか?」
「…うん!」
さっきまで悲しい顔をしていたとは思えないほど、今はいつもの可愛いに南に戻っている。
一つ一つ俺が解決してくれることを本当に信じたのだろう。
「んじゃ、2つ目ね。」
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