175 / 207

第175話〜同じ顔〜

〜晴也side〜 「あっ!先生お帰りなさい!」 また店に戻ると、位上くんがすぐに駆け寄ってくる。 「どうでしたか?」 静かに首を振る。  俺達は一旦状況整理をした。 まず、南がトイレに行ったきり行方不明。 その後怪しい人物を見つけるが、残念ながらハズレ。 俺達がわかるのはこれだけか………… なんとも少ない。 すると位上くんは気不味そうな顔をした。 「あの…これ…」 そう言って机の上に置かれたのは南が持っていた携帯だ。 「さっき、何かないかなってトイレに行ったらこれが置いてあって………」 まじか………… もしこれを南が持っていてくれてたら、GPSとかで居場所は分かったのかもしれない。 いや、それを見越して犯人はわざと置いていったのか……? いろいろと可能性が出てくる。 けれどそんなこと考えても今はどうでもいい。 まずは南の場所だ。 また……実家に頼るか? 何故か少し言いづらい。普段から頼りすぎているからだろうか。 明るいレストランで、俺たち2人は暗い顔で向かい合っている。 全くといっていいほど場所と空気があっていない。 そんな中、場違いな言葉が俺の上から降ってきた。 「あの〜。連絡先交換しませんか?」 は? 驚いてすぐさま上をむく。 そこに居たのはさっき別れたはずの凛夢子さん。 位上くんは誰かわからないのか俺たち2人を何度も見ている。 「えっと……交換って、なんで??」 「え?だって、キタヤ先生ですよね?」 なんだろうか。 さっき会った凛夢子さんと何かが違う気がする。 その上こんな短時間に移動できるのか? 彼女の服装は、世にいうゴスロリというやつだ。履いてる靴の高さも高い。 そんな人がこんな早くにここまでたどり着けるだろうか。 だんだんと疑問が生じる。 俺は一応確認のために名前を聞いた。 「お名前を伺っても……?」 「え?はい。麗華です。」 れい、か????? もしかして双子とか? 俺の妹も双子だが二卵性だ。彼女等は一卵性なのかもしれない。 「あの、双子の姉か妹さんがいたりします?」 「え?いませんけど?」 余計に頭が混乱した。  すると見兼ねた位上くんが彼女に質問をする。 「自分と同じ顔の人と会った事ありますか?」 そう聞くや否や、彼女は大きく目を見開いた。 当たりだ。

ともだちにシェアしよう!