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第175話〜同じ顔〜
〜晴也side〜
「あっ!先生お帰りなさい!」
また店に戻ると、位上くんがすぐに駆け寄ってくる。
「どうでしたか?」
静かに首を振る。
俺達は一旦状況整理をした。
まず、南がトイレに行ったきり行方不明。
その後怪しい人物を見つけるが、残念ながらハズレ。
俺達がわかるのはこれだけか…………
なんとも少ない。
すると位上くんは気不味そうな顔をした。
「あの…これ…」
そう言って机の上に置かれたのは南が持っていた携帯だ。
「さっき、何かないかなってトイレに行ったらこれが置いてあって………」
まじか…………
もしこれを南が持っていてくれてたら、GPSとかで居場所は分かったのかもしれない。
いや、それを見越して犯人はわざと置いていったのか……?
いろいろと可能性が出てくる。
けれどそんなこと考えても今はどうでもいい。
まずは南の場所だ。
また……実家に頼るか?
何故か少し言いづらい。普段から頼りすぎているからだろうか。
明るいレストランで、俺たち2人は暗い顔で向かい合っている。
全くといっていいほど場所と空気があっていない。
そんな中、場違いな言葉が俺の上から降ってきた。
「あの〜。連絡先交換しませんか?」
は?
驚いてすぐさま上をむく。
そこに居たのはさっき別れたはずの凛夢子さん。
位上くんは誰かわからないのか俺たち2人を何度も見ている。
「えっと……交換って、なんで??」
「え?だって、キタヤ先生ですよね?」
なんだろうか。
さっき会った凛夢子さんと何かが違う気がする。
その上こんな短時間に移動できるのか?
彼女の服装は、世にいうゴスロリというやつだ。履いてる靴の高さも高い。
そんな人がこんな早くにここまでたどり着けるだろうか。
だんだんと疑問が生じる。
俺は一応確認のために名前を聞いた。
「お名前を伺っても……?」
「え?はい。麗華です。」
れい、か?????
もしかして双子とか?
俺の妹も双子だが二卵性だ。彼女等は一卵性なのかもしれない。
「あの、双子の姉か妹さんがいたりします?」
「え?いませんけど?」
余計に頭が混乱した。
すると見兼ねた位上くんが彼女に質問をする。
「自分と同じ顔の人と会った事ありますか?」
そう聞くや否や、彼女は大きく目を見開いた。
当たりだ。
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