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第201話〜笑顔〜
ずっと気になっていたことを聞きたかった。
「や、やだな…笑ってますよー!」
焦ったようにキョドり始めた……
なんとも分かりやすい………
「本当に?」
しっかりと目を見て、威圧するような態度をとる。
すると分かりやすく彼から笑顔が消えた。
「……やっぱ、凄いっすね先生って。」
「全然だよ」
小さい頃から家のパーティとかで媚を売るような奴はよく見てきた。それで目が肥えただけ。
初めて彼を見た時、笑わない子だと思っていた。
けれど南から話を聞くと『ずっと笑っていた』という。
ここで違和感が生じたんだ。
「…ずっとそのままでいいの?
俺は別に何も止めはしないけど。」
「……嫌っすよ。楽しくないのに笑うとか。でもそうしないとなんだか俺が俺じゃなくなる気がして…怖いんす。
でも、藍川と先生について話した時は本当に笑えた。久しぶりに笑えたんです。」
どこか遠い目をしながら嬉しそうに話している。
「位上くんはどうしたいの?」
「………楽になりたい」
一瞬、『自殺』という言葉が浮かんできたが、彼の顔を見て違うと確信できた。良かった。
「あの、まじで独り言だとか思って欲しいんすけど、聞いてくれますか…?」
「俺でよければ」
不安そうな彼をこのまま放っておけなかった。
それに南の大切な友人だ。俺も大切にしたい。
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