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第204話〜最後の挨拶〜
4年後、今俺たち2人は空港にいる。
「ごめんね、ハル。僕のわがままでこんなに時間がかかっちゃった……」
「全然。気にしなくていいよ。それにそのおかげで南なんてもう英語ペラペラだろ?」
「僕的には…できてる方だと思う…」
緊張しているのかあまり笑顔がない。
「大丈夫。俺がいるし。少しずつ慣れていこう。」
「…うんっ」
南の指には、昔俺がプレゼントした婚約指輪が嵌められている。
2人で恋人繋ぎをしていると、トントンと後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、優と奏斗、花さんがいた。
「先生…行っちゃうんですねぇ…」
「そうですね。というか、もう先生じゃないですよ。」
「あ、そうでした〜。でも先生がしっくりするのでこのまま呼びますね。」
「ふふ、はい。」
花さんは俺が引退した後も、ずっと仲良くしてくれていた。
「晴くんー!!もう行っちゃうなんて早すぎるよぉー!!
てかてか、これからはすぐに会いに行けないじゃん!!」
優は最後までこんな調子だった。
しかしなんと号泣で、最初の時説得するのが大変だったのを覚えている……。
「晴、あっちでも元気でねー!
んで、12年間めっちゃありがと!最初こんなにつるむなんて思ってなかったから、まじ俺感動!
今度優と遊びに行くわ!」
「ん、りょーかい。」
奏斗は変わらず言動は軽いが、心がこもっているのはよくわかる。
それに12年か…
俺もこんなに関わるとは当時思わなかった。
こいつには色々迷惑かけたし、世話になった。
良い親友を持ったと言える。
「あ、やば。時間だ。」
時計を確認するとそろそろ入場しなければいけない。
南の手をもう一度握り直し、2人で歩き始めた。
南は今も昔も可愛いが、前に比べて身長はちょぴり伸びた。
それに少し声も低くなったが、相変わらず南の魅力はとどまることを知らない。
正直心配だ。
あっちですぐにナンパでもされそうな程本当に魅力的なんだ。
けれど昨日それを南に言ったら、『僕は何があってもハルしか好きになれない。僕はハルが一番大切。ハルなしじゃ生きれない。』と言ってくれた。
その言葉を思い出し、ついにやけてしまう。
これからは新しい生活が始まる。
知らない土地で、1から……
まずは結婚式を挙げよう。
絶対に南は白スーツが似合うだろう。
成人式の時、普通のスーツですら似合っていたのだ。
あぁ、楽しみで仕方ない。
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