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第205話〜成長〜

〜奏斗side〜 「あー、行っちゃったぁ…」 空を見上げながら優がつぶやく。 花さんは仕事があるのでもう帰ってしまい、今ここには俺と優しかいない。 こんな子供みたいなことを言っている優だが、数年前は凄かった。 凛夢子ってやつの件では、本当に活躍したのだ。 それにあの冷紫ってやつはあぁ見えてすごい弁護士だった。 優と同じくらいと言ってもいいだろう。 けれども完璧悪いのはあっち。裁判では見事勝利を収めた。 冷紫って人は、これから優に近づけばすぐに牢獄入り。その約束を取り付け、なんとか1件落着した。 「はぁ、はぁ…あれ、もう行っちゃいましたか!?」 「あ、大雅くんじゃーん!」 スーツ姿の彼が、走ってここまで来た。 4年前、晴の実家で働き始め、今はそこに就職しているそうだ。 「今行ったとこだよ〜」 「うわぁぁまじかぁぁ……」 大雅くんはその場でしゃがみこみ、呻いている。 「藍川達のこと見送りたかったのに……」 「え?位上くん、今度あっち行かないの?」 「あ、優さん。行きたいんですけど、まだ行けるかどうか……」 「あー。晴くんの家で働いてるんだっけ?そんなに忙しいの?」 すると彼は困ったように眉を下げた。 「今俺、掃除の仕事辞めて、先生のお父様の秘書やってるんです。その日旦那様は仕事なので行けるかどうか……」 「「あー。」」 俺と優は声を揃えて納得した。 というか、高校生だった南ちゃんや大雅くんがもう成人をして立派な大人になった。 俺ももうすぐ30代に入ってしまう。 時の流れが早く感じる。 晴達はどんどんと前へ進んでいくのに、俺だけ立ち止まってるみたいだ。 俺は優を見ながら考えた。 4年前から優とはセフレ関係だ。 けれど最近セフレと言っていいか分からなくなってきた。 シていないのだ。 二人ともなかなか時間が合わない。 てか、今の俺にできるのか? もうこいつをセフレとして見ていないのに? 一人の男として見てるのに? 「僕の顔になんかついてる?」 見すぎたのか、優が変な顔をしだした。 「ついてねーよ。つかなんだその顔。」 「はぁ!?うるさいっ!」 あぁ…つい悪態をついてしまう。 この癖をなんとか無くしたい。 好きな子を揶揄うって小学生かよ。もういい年なのに情けない。 今度、優にこの気持ちを言ってみようか………

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