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「ルアン様。お持ちしました」  湯気の上がっている盥と、包帯などを抱えたカルダが戻ってくるとルアンが振り返った。 「カルダ。部屋を用意しろ。リョウスケを番にする」 「ルアン様。リョウスケ様にはすでにお相手が――」 「そんなことは分かっている!」  苛立ちを滲ませたルアンが怒鳴り声を上げた。 「責任は全て俺が負う。リョウスケにこんな思いはもうさせない」  抱きしめてくるルアンの腕の力が強まった。 「リョウスケ様。本当によろしいのですか?」  カルダに問われ、遼祐は震える声音で「お願いします」と頷いた。  足の治療を済ませるとルアンに横抱きにされた遼祐は、そのまま部屋へと運ばれた。  いつもの応接室のような場所ではなく、寝台の置かれた一室だった。広々とした寝台の上に降ろされると、すぐさま遼祐の上に影が覆いかぶさった。  ルアンの首の後ろに腕を回すと、貪るように唇を奪われる。 「舌を出せ」  言われた通りに舌を差し出すと、厚く長い舌が絡みつく。初めての感覚に無我夢中で縋り付いた。 「ふっ……んっ」  大きな掌が着流しの袷から差し込まれ、熱く火照る身体を撫でられていく。電気が走ったように全身が震え、下腹部にもどかしさを感じる。 「っ……ぁ、はやくっ」  ねだるように腰を揺すると、遼祐の身体が反転する。うつ伏せになると、裾をたくし上げられ下着が外された。  溢れた愛液が太腿を伝っていく。背後から荒い息遣いが聞こえ、ルアンも興奮しているのだと分かる。 「すまない。リョウスケ、限界だ」 「ルアン……さん……」  強い圧迫感が後孔を襲い、遼祐は苦しげに呻く。 「大丈夫か? リョウスケ」  ゆっくりではあるものの、初めての挿入に苦しさは拭えない。それでも早く繋がりたいと、遼祐は震える声音でルアンを促した。 「僕は大丈夫です……もっと奥まで……貴方が欲しい」 「リョウスケ、あまり煽るな」  探るような動きから一気に奥まで突き上げられ、遼祐は嬌声を上げる。 「はぁっ、ぁっ……」  突き上げられる度に、全身が快楽の渦に飲み込まれていく。濡れた音が規則的に部屋を満たす。 「……お前の幸せを願って、手放そうとしたのが間違いだった」  荒い息遣いの中、悔いているようにルアンが漏らす。 「僕だって……もっと早く、貴方に好意があるのだと気付けていれば良かった」 「俺と番になって貰えるか? リョウスケ」  首の後ろを舐められ、堪らず後孔を締め上げる。歯を噛みしめる音が聞こえ、ルアンが限界が近いのだと察した。 「はい……貴方とだったら、僕もやっと幸せになれそうです」  快楽による涙ではなく、嬉し涙が遼祐の頬を伝う。真の幸福を数年振りに実感した瞬間だった。

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