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いや、やばいってなんだ。
別に見ても可笑しいことはないじゃないか。
俺は何に対してやばいと思ったんだろう…
わからない。
……だがこれは授業中に考えることではないということは分かる。
俺は切り替えて授業に集中した。
放課になり、奴は来た。
そう。奴が。今は会いたくない。
なぜなら………
「ねーねー!さっきの時間目合ったよね!?もしかして俺の事ずっと見てくれてたり!?」
…こう言われるからだ。
「うざい。」
「えっなになに、照れてんの!?ちよって可愛いとこあるね〜!」
「はぁ…」
彼はやたらテンションが高い。
そして無駄に声がでかい時がある。
今もそうだ。
由李くんがやたら話しかけるせいで周りの生徒が疑問に思っている。
あの由李がなぜ桜羽に…?と。
俺も知りたい。
合コンの件は何度も断っているのだから他当たってくれればこっちも楽なのに…
俺じゃないとダメ…なのか?
確か由李くんはイケメンを連れてこいと他校の女生徒に言われ、俺を誘ったんだよな…。
でもこの学校には他にも顔が整ってるやつは数名いる。
「あの…少しいいですか?」
「おっなになに。行く気になった?」
「違う。
…そうじゃなく、なぜ俺を誘ったんですか。愛想もなくこんなつまらない男を。」
「えー?だからそれはちよがイケメンだから〜」
「なら他を当たればいいでしょう。」
俺の瞳に映った彼の顔は、酷く…焦っていた。
何故。
何故そんなに焦る?
俺は何かおかしなことを言った?
わからない。
俺は、由李くんを理解できない。
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