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「…由李くん?」
「えっと…んーーーー」
焦った次は急に悩み始めた…
情緒不安定なのだろうか?
すると今度は覚悟を決めた様に俺と向き合った。
「放課後。放課後に、昼飯食ったところの空き教室で話す。」
「えっ」
「じゃ!」
それだけ言って自分の教室に帰って行った…
なんなんだ。
不思議がっていると、俺たちの様子を見てたクラスメイトが話しかけてきた。
「ねぇ、今のってさ。由李くん…いや、やっぱなんでもない…ごめん」
なんだ。
そこまで言うなら最後まで言ってくれないとこっちはずっとモヤモヤするじゃないか。
…あからさま過ぎたか?
俺の言えよオーラにクラスメイトがたじろいだ。
「ごっごめん。えっと、その………えっと〜」
「簡潔に」
「ヒィ…怒らないで…」
そういう引き伸ばした言葉が嫌いだ。
だからそう言ったのに、何を勘違いしたのかクラスメイトは俺が怒っていると思っている。
「はぁ…怒ってませんから。続きを。」
「う、うん…あのね、勘違いだったら申し訳ないんだけど…こ、告白じゃないのかな…?」
………は?
まさか。そんなのありえない。
ここは男子校で、同性愛者がチラホラいるのは分かっている。
けど相手はあの女好きの由李くんなんだから…
クラスメイトに言われた言葉が引っかかり、残りの授業はあまり集中できなかった。
あぁ。家帰って復習しなければ…
はぁ…気が重い。
由李くんの声が大きいせいで他のクラスメイト達はまだ行かないのかとちらちら視線をよこしてくる。
こういう視線は大嫌いだ。
なるべくひっそりと暮らしていたいのに…
俺は視線が嫌で早足で空き教室に向かった。
あれ。そういえば…
空き教室の鍵は俺が持ってるんだから、もし由李くんが先に来ていたら待たせてしまうんじゃ…?
人を待たせることになるのは本当に嫌だ。
俺は先生に見つからないよう、さっきの倍早く歩いた。走ってるなんだのと怒られてもっと待たせるようなことはしたくないから。
やはり、普段の俺から想像出来ない行動にすれ違った人は何事だと思っているが…
教室に着くともう由李くんは来ていた。
「待たせてすみません…!」
「いや、今来たとこだし」
本当だろうか…
いや、嘘か本当かなんて今悩んだってしょうがない。
俺は鍵を開けて先に由李くんを入れた。
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