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第11話
「郁瀬…?なに…、」
「俺…、悠とは親友じゃいられないみたい。」
「…は?」
突然の言葉に驚きが隠せない。
「悠とは親友でいたかったけど、もう無理なんだ。」
「…俺のこと、気持ち悪くなったんだな。」
「え?」
だって、それしかないだろ。
「俺が告白なんかしたから…、時間が経って、俺のこと、親友じゃいられないと思うくらい…気持ち悪くなったんだろ…?」
だって、それしか浮かばない…。
「………。」
無言の郁瀬に、涙が頬を伝う。
突き放すやつじゃないって思ってた。
思ってたからこそ、これはキツイ。
「…っごめ、俺、明日から距離置くし…っ!だから今日は、もう帰りた…ッんぅ!」
涙でボヤけてた視界が、急に暗くなった。
「…っ!?いく…っンふ…ぅ…っ!」
なんで…、なんで、郁瀬……。
「んンッ……っや、めろッ!」
「はぁ…っ、はぁっ…、」
ドンッと郁瀬の肩を押し、顔を横に背けて唇を離した。
「な、んで……、なんでキスなんか...っ!!」
「ゆ、」
「なんなんだよ!俺のこと、気持ち悪いと思ってるくせに…!俺も、お前のこと諦めようって、決めたのに…っ!
そんなことされたら…もっと、もっと…っ、」
「悠…?」
「もっと…好きになる…っ、」
俺は、どうしたらいい…?
「悠、泣かないで。」
「うっ、ひ…っ、うぇえ…っ!」
どうしたらいいかわからないから、教えてほしい。
どうしたら、郁瀬は俺を見てくれるの…。
「…俺ね、悠のことが好きみたい。」
「ぅぇっ、…え…っ?」
「あ、泣き止んだ。」
俺の顔を見て、フッと微笑む。
「は…っえ…?な…、…え?」
また違う意味で驚きが隠せない。
だって郁瀬が、俺の事…。
「俺、莉乃から告白される前から…、悠が好きだったんだよね、きっと。」
「え…。」
「だけど、悠は男だろ?だからこれは恋じゃないって思ったんだ。」
「………。」
「だけど、昨日と今日、たくさん考えて…やっとわかった。」
「………。」
「俺、悠が好きだよ!」
そう言って笑った郁瀬の頬は赤く染まり。
「…っ気付くのおせぇよぉ…!この鈍感~!」
「ごめんね。…おまたせ!」
それは紛れもなく、俺に恋してる顔だった。
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