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第15話

 ゆいちゃんゆいちゃん。ふうかとなほちゃん、どっちがすきなのー? 『どっちもすきだよ』  そんなのだめだよ。どっちかひとりー!  どうしてあの子と映画に行ったの。一緒に行くって約束したのに 『誘われたから。君も行こうね』  酷いよ全然分かってない。もう間宮君とは付き合えない  ちょっと(ゆい)!隣のクラスの女と二人でカラオケ行ったってマジ?しかもオールとか、ウソでしょ? 『うん。誘われたから。本当だよ』  はあ?なにやってんの?あんたサイテー。もういいわ  お前が経済学部の奴とホテル入んの見たって……人違いだよな 『行ったよ。誘われたから』  信じらんねー。付き合ってると思ってたのオレだけかよ  ──間宮って誘われたら絶対断んねえんだってな (……だって期待されたら応えなきゃ駄目でしょう?)  私の気持ち考えたことある──?  オレの事どう思ってるの──? (みんなの事は自分よりも大事だよ──)  他人のことなんてどうでもいいのよね  金があって顔が良くても、あいつクズじゃねー? (──僕って、クズなの………?) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  おまえはこの家の長男だ。行々(ゆくゆく)はマミヤグループの企業いずれかを担う事になる。常に優秀でありなさい。期待を裏切らないように  あの子はどうも他と違う。何を考えているのか分からんな。我が子ながら不気味だよ  弟の(ゆう)は本当によく出来た子なのに。あんまり悠を近づけたくないわ  また揉め事を起こしたのか。人の上に立つ人間が他人を使い熟せずにどうする  本当にだらしない。悠に悪い影響が出るから、話をしないで  全くお前は期待外れだな。そんな勉強になんの価値がある。もういい勝手にしろ  あなたには何も期待していないわ。とにかく悠に近寄らないで  ──マミヤという名はお前には荷が重すぎるんだろう。悠もいることだ、無理をする必要はない。結、お前は私の元でその知識を活せばいい。ここで教師になりなさい 『はい。分かりました────お祖父様』  期待に応えらえれなかった僕が全部悪い。  きっと僕には何かが欠けていて、そのせいで周りがちょっと不幸になる。  もうガッカリさせるのは嫌だから誰とも関わらなければいいんだよね。  だけど──少し疲れたな。  一人で北極に住めたらいいのに。居るのはペンギンだけでいい。

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