荒い息が落ち着いてきたのを見計らい、先生がゆすゆすと腰を動かし始める。繰り返す波のような振動に、無理矢理ではなくゆっくりとオレの身体は受け入れてく。擦られ拓かれていく内側が、熱を帯びてジンジンする。 「僕を全部、いれて。いちばん──奥まで。眞尋は……僕のだから」 　どこまでもオレの身体はおかしくなってる。こんなものを飲み込んでるのに──気持ち良いい。一杯の所まで身体を沈めて先生の腰が止まる。 「ふ──、っ、眞尋の中………気持ち、い──」 「っあ、は……結……の……それ、全部……？」 　散々脅された気がするが、激しく動かれなければ耐えられそうだった。 「ん……まだ──。でもまず、眞尋も、気持ち良くなろ」 （……まだ、なの？これ結構、限界だけど……） 　先生が腰を押し付けながら静かに律動する。そうじゃなくても大きくて内側に全部あたってる。そんなにやさしく押されたら、指の何倍も感じてしまう。 「あっ、あっ……あっ……あっ、ん、ぅ……」 「ほら──気持ち良い」 　上半身が倒れ込んできて背中をあたたかく覆う。先生は首筋にキスを落としながら、指で乳首を転がすように撫でる。 「んんっ、ふ……あ、っああっ……ん」 「気持ちいいね。眞尋──いい子だね。なか、もうトロトロ」 　動きがスムーズになっていく。腰を掴まれ強く抽挿されても、快感が甘すぎて身体が溶けていくだけだった。 「あ、や……っ、結……っん……ぅ……も、あ……ぁ、……」 「──うん。なに？……もっとして欲しい？」 　なにをどうしたいのか自分でも分かってない喘ぎを、先生が拾う。 「うん……うん──も、っと……もっと……して、結……っ」 「いいよ。してあげる」 　背後から身動き出来ないほど、ぎゅうっと抱き締められる。腰を押し付けられて、先生のものが壁に突き当たる感覚。すごく深い。多分それ以上はないのに、ぐりぐりと抉られる。 「眞尋。ちから抜いて──」 「っふ、ぁ──え──？」 　突き当りを先端で執拗に押し込まれる。その先は、無いはずなのに──抉じ開けられそうな──気がする。 「え？え？──あ、あ、あ、」 「────大丈夫、まだ入るよ…………眞尋の深い所まで全部──欲しい」 「え──あ、っ……？だ、だめ……だめ、だめだめだめだめだめっや──やぁ、むり、あ、あ、あ、んぅっっ」 　グブンッ──と固く縛った輪ゴムを通り抜けるような感触で、届いてはいけない奥の奥まで、先生が深く入り込んだ。 「く、は──っあ、あ、あ、あー……………」 　どこが、どうなっているのか、分からない。ビリビリと頭の芯まで感電したみたいだ。スパークする脳裏にお花畑と川岸が見える。あの川は渡ってはいけないやつだ。喉が引きつり、顔中が涙と涎と鼻水でグチャグチャになる。 「よく……できたね……眞尋。ほんと、いい子。まだだよ、もっと……よく、してあげる……」 　全身がガクガク震えている。にも関わらず、深く繋がったまま奥の入口で、重たい抽挿をされる。 「い……っ……や、うそ……やぁ、あ、あ、あ、結、結っ、オレっ死んじゃ……っあ、っああ──」 　もう何を口走っているかなんて知らない。何も考えられない。なのに──こんなに激しい刺激ですらオレは快感として受け入れてしまっている。 「眞尋、すごく感じてる。気持ちいい。絡みついて……絞り取るみたい。──僕の精子そこで飲みたいの？ゴム外す？」 「な、に……言って……っは、あ、あぁっ……も……っや……だ。結、エロ……すぎ……っ」 「やらしいのは眞尋。いま僕、動いてないよ。自分で腰振ってる」 「う……そだ……」 「うそじゃない。いやらしい眞尋、好きだよ。もっと、気持ち良くなろ。思い切り──眞尋のなか擦(こす)ってあげる」 「んっあ、ああ──っあんぅ……っ、ん……い……っ……」 　思い切り、といっても己の快楽を優先してない──じっくりと、効果的に、容赦なくオレを追い詰める。 「……っあ、や、あ、っや、ぁ、気持ちい……結……結ぃっ……っもち、ぃ……気持ちいい……っ」 「は──、うん……僕、も──」 　先生が肩を噛み、それから強く吸い上げた。両腕を後ろに引かれて重心が腰に掛かり、また深く突かれる。もう──ダメだった。身体が痙攣しながら少しづつイッている。 「全部、一度に……触ってあげる。何もかも、分かんなくなって──イッていいよ」 「────っっっっ！！！」 　後孔も股間も乳首も擦(こす)り上げられ、悲鳴のような嬌声をあげてオレは全てを吐精(はきだ)した。 「眞尋、大丈夫？」 　身体を投げ出し屍化したオレの頭を、大きな手のひらが撫でていく。 「……三途の川みたよ……オレ」 「ん？なに？」 （死にかけたんだよっ） 「オレ初めてなのに……エロ全開で挑むとか……鬼だろ……」 「うん────眞尋かわいかったね。すごくかわいくて……砂浜でかわいい顔した眞尋を右白君が見てたな……って思い出して、ちょっと無茶した。ごめん」 （え？右白に告られた時の話？すごく分かりにくいけど、嫉妬？） 　それなら八つ当たりで、しかも報復相手を間違えてる。 「──結って大人げないよな」 「うん──それが僕だよ──」 　軽口のつもりで言ったのに、横顔で諦めたように寂しく笑う────その表情にギクッとなった。 　よく考えたら、はぐらかせば済むことなのに言わなくても良いことを、わざと言った気がする。 （なにも隠さないってそういうこと──？） 　自分を見せると失望されると思っていて、それを悲しく思っていながら、見せてくれようとする。 （オレを信じたいからだよな──少しは信じて貰えたかな──） 「結…………キスして」 「眞尋──」 　やさしいキスに胸が締め付けられる。 （好きって気持ちに終わり──ないのか？） 　増えていくばかりで、キリがない。