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第26話
「まだここはグズグズですね。すぐにでも入りそう──挿入 たい。挿入 てもいいですか──僕に犯されたいですか」
「っあ、あ──っあー……ふ、んんぅ──」
「──嫌だと言っても犯しますけど」
ベッドルームにキャンドルのオレンジ色が揺らめいて影が踊る。照明はそれだけで部屋の中は薄暗い。
先生の動きは性急で、乱暴といって良いほどに、これまで触れた手つきと違う。
オレの片足を掴み上げて大きく開かせると、斜めから腰を突き入れた。挿入してすぐに腰を遣い出す。
「っ──欲を満たす為だけに……抱くなんて、レイプと変わりないのに──君のせいで僕は……奪い尽くすことしか、できなくなる……」
先生の──余裕がない。欲情して歪んだ声がオレをどうしようもなくする。身体が溶けそうだ。快感に耐えながらシーツを握りしめる。
「眞尋が何をしても……僕はあっけなく煽られる。だから……自分の事ばかりに、気を取られてました──」
大きな身体が覆いかぶさってきて、繋がった所にさらに深く捩じ込まれる。オレはうめき声を上げた。
「君も隠してるんですね」
首筋に強く歯を立てられた。霧谷先生が揶揄 って舐めた場所。歯型が残るほど何度も強く噛みつかれる。
「──だけど、またこんなことを許したら……君は悦 ぶ以上に──後悔しますよ」
先生は噛み跡をねっとりとこねるような舌使いで舐め上げた。身動きできないように頭から腕で抱き込んで、凶器のような塊を容赦なく出し入れする。
「んんっ、あ、っああ、あっ……!」
無理やり拓かれて揺さぶられ、痺れるような快楽のままに、抗う間もなく射精してしまう。
「もうイッたんですか?だったら──丁度いいですね」
ビクビクとまだ震えている股間に先生の手が伸びてきた。超敏感になっている亀頭に指を這わせてクニクニと弄る。
「やあっ、まだ……っ、さわ……ない…っ…!イッたから、イッた、ばっかだ──って──」
「だったら、なんです?イッたら終わるとは言ってませんよ」
上から身体で押さえ付けたまま、執拗に先端ばかり揉まれる。弄られ続けていると、ものすごい背徳感が襲ってくる。
「あ──ダメ……やめて、ほんとに──それヤバイ、から、違うの……でるから……や、先生っ」
すごくマズイ気がする。性的な快感と直結してるわけじゃない。生理現象だ。なのに、こんな風に弄られて促されて感じるなんて──。
「ダメっっ、も、ダメだってほんと、や……っも、──おしっこ、漏れちゃう……っ!」
「そうじゃないから、出しなさい」
「んんん──も……っごめ、なさ……や、あああああっ」
ぷしゃあと……恥ずかしい音がして、サラサラとした液体が勢いよく吹き上がる。
(──漏らした──恥ず……かしい──ほんと死にそう……)
「……………………」
「──ちょ、先生……なんで……おっきく、しないで──!」
オレの醜態を観察していた先生が、言葉もなく抽挿を再開する。
「あ、っは──っ……あっ、う……ぁ、先生、はげし……っ──」
「っく……は……」
眉を僅かにひそめながら口元に笑みを浮かべ、グチャグチャになったオレに好き放題、腰を振る。まるで別人みたいに乱暴で自分勝手なセックスだ。オレを見る目が暗闇の松明みたいに爛々 と燃え盛っていて、視線を合わせたら焼け落ちてしまいそうになる。
「こんなに滅茶苦茶にされても感じて──違いますね──その方が、感じるんですね、眞尋」
先生に見破られた。ドクドクと身体中が激しく脈打つ。
「ほら、もう勃ち上がってる──そこを自分で扱いて、僕に見せて」
「あ……っ、や──んなの……ムリ……」
「やりなさい。もっと気持ち良くなりたいでしょう。眞尋はいやらしい子なんだから」
オレの手を掴んで期待に昂ぶる陰茎に重ね、くちくちと音をたてる。
「そう──手を止めないで」
そうしておいて先生はオレの腰を掴んで、激しく抉るように突き入れた。
「んぅ……っ、つよ……っは……ぁ」
攻め立てる動きは止まらない。体重をかけて腰を押し付けられ、さっきこじ開けられた突き当りを、手加減なしでグリグリとこねまわされる。
「激しっ……っい、キツ……もう、やだっ!せんせ……っあ、んっ……や……やぁ……っ!」
目眩のするような強すぎる快感に耐えきれず叫び声を上げた。
「可哀想に、震えるほど辛いんですね──分かりました。これ以上、君を苦しめたくはありません」
「……は……っ……ぁ……っえ……」
肩で息をしている先生が驚くほどあっさりと身体を引いた。オレを犯していたものがズルっと抜け落ちて身震いする。
その余りに心細い感覚に、矛盾を承知で追い縋る。
「や──やだ、抜かないでっ、ココにいて、せんせ──」
先生の目が楽しんでいるように細められ、鈍く光る。
「馬鹿だね──」
すぐにズブズブと熱い塊で貫かれた。一度焦らされた内側を、先生がゆっくり押し拓いていき、目の前が真っ白になって快感が全身に広がる──。
「あ、あっあ……っあ──」
「挿入 ただけでイきましたか?──内壁 が僕にしがみついて離さない。まだ欲しがっているのが良く分かります。セックスを知ったばかりなのに貪欲で浅ましい身体──すごく……そそる──」
先生はオレの両手をベッドにはりつけ、槌を振るうように重たく腰を打ちつける。もうオレは振動がくるたびに中でイかされている。
「っ……そんなに……いやらしくうねって……やっぱり、内壁 に出して欲しいんですか」
先生の苦しそうな声が聞こえ、身体の芯の触れない部分が締め付けられる。
「欲し……っ、先生の、お腹に……だして……欲しい……っ」
「良いですよ──君の内側が溢れるまで……僕で……汚してあげます──っ……」
「ふっあ、ん、あっ──先生、先生、……っ溶ける……オレ溶け、ちゃ──」
先生の身体が堪えきれないように震えてオレの中を熱く浸す。腕の戒めを解き、肘をついて重なる身体を、受け止めて抱きしめた。
「もっと……僕が欲しくてたまらなくなるようにしてあげる。深く溺れてどこまでも堕ちて──僕だけのものになりなさい──」
これ以上ない甘い響きを持って先生の言葉が心の奥を侵食していく。
毒花たちがサワサワ揺れる。
正気とは思えない偏愛で、衝動のままにオレを縛って──。
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