27 / 28
第27話
頬に当たった朝日が眩しくて目を覚ました……ここは……ロイヤルスイートなコテージだ。
ぼんやりしながら隣でうつ伏せに寝ている先生に目をやる。
宵闇の床でみる先生も相当色っぽかったが、朝の光の中で裸の肩をさらす先生もエロい。
「先生──」
「……んー?」
「もう朝だよ」
「ああ──そうだねー……」
昨日とはまた違う、アダルトな天使みたいな顔で目をこする。レアでかわいい姿に見惚れて──無理に起こさず、黙って様子を眺めた。
陰も陽も併せ持つ、先生の千変万化にオレは翻弄されっぱなしだ。捉えどころが無くて、魅せられる。
「──悪い子だね、そんな顔して。また──欲しくなるでしょ……」
オレを腰から引き寄せて、寝ぼけてるくせに舌を入れてくる。
「流石に……冗談でしょ?」
ゆうべの回数なんか覚えてられないくらいだ。それこそ獣みたいにセックスしたっていうのに。
「全部本気だよ。しないけどね。ほら服、着よっか」
きせかえ遊びをするようにオレにTシャツをかぶせ、腕を通していく。
「ねえ眞尋──前にどこか行きたいって言ったよね。海には来たから今度は山かな。どっちにも家の別荘があるよ。一緒に行こ」
脈絡なく先生が言う。夏休みの予定の話だ。流されたと思ったのに、覚えててくれた。
「誰の目にも止まらない所で、誰にも邪魔されずに二人だけで過ごそ。そこで今度は──眞尋の全てを僕に見せて」
「うん……絶対、行く」
先生は髪を搔き上げながら伏目がちに口元で笑う。寝起きの気だるさも相まって、また見たことないほどの色気に溢れてる。
(オレの方こそ、また欲しくなるよ……)
オレも人のことを全然言えない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
臨海学校という名の愛と欲望のバカンスが終わった。帰りのバスの中で先生に寄り掛かってウトウトしている。
二日目の夜もほとんど寝てなくて身体がだるい。誰のせいかは言うまでもない。
(──オレの方が若いのに……それもはるかに。一回り以上。なんなのあの絶倫……そりゃもっとって言ったけど、無いの限界)
半分夢の中だからとりとめがない。
「おまえ夏休みの予定ってどうなってんの」
前の座席から霧谷先生の声が聞こえる。間宮先生に言ってるんだろう。
「特に何もありませんよ」
(オレと……別荘行くんだよね……)
「実家帰らねえの?」
「帰りません」
(ふーん……実家、どこかな……)
「こいつとどっか行くとか」
「さあどうでしょうね」
(こいつ……オレか……)
「はぐらかすんじゃねよ。しっぽり二人でどこ行くんだって」
「しつこいなあ、行きませんたら」
(ほんとしつこい……あれ?行かない……?)
「──別荘連れてってくれるって言ったじゃん!」
「……眞尋……」
(あ……口に出てた……先生の目が……怒ってるよね……寝ぼけてたんだよ)
「なになにーシオ、センセーと別荘行くの?はいはーい、オレと右白もー!ね、いくない?それ、楽しくない?ね!」
「左十君……」
「それいいな。オレも連れてけ。退屈させねえでやるからよ」
「……先輩」
先生の声が珍しく困惑してる。オレの方を向いて、露骨に不機嫌な顔をする。
「それで君は、なにを笑ってるんですか」
「……みんなで行くのも面白そうかなって?」
嫌そうな先生に鬱陶しい左十たち。想像しただけで可笑しくなってくる。
「別に良いですけど、目的は変えませんからね?………どうなっても知りませんよ」
(……すっごい悪いこと考えてる……)
先生に翻弄される分、オレも先生を振り回してやる。
もっと知りたいからしょうがない。色んな貌 する先生のこと。
──オレもいっぱい見せるから。
機嫌を直した先生が、大きな瞳 を伏せ静かに微笑 う。
たまらないほど愛おしくって、周りは無視して抱きしめた。
ともだちにシェアしよう!