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第27話

 頬に当たった朝日が眩しくて目を覚ました……ここは……ロイヤルスイートなコテージだ。  ぼんやりしながら隣でうつ伏せに寝ている先生に目をやる。  宵闇の床でみる先生も相当色っぽかったが、朝の光の中で裸の肩をさらす先生もエロい。 「先生──」 「……んー?」 「もう朝だよ」 「ああ──そうだねー……」  昨日とはまた違う、アダルトな天使みたいな顔で目をこする。レアでかわいい姿に見惚れて──無理に起こさず、黙って様子を眺めた。  陰も陽も併せ持つ、先生の千変万化にオレは翻弄されっぱなしだ。捉えどころが無くて、魅せられる。 「──悪い子だね、そんな顔して。また──欲しくなるでしょ……」  オレを腰から引き寄せて、寝ぼけてるくせに舌を入れてくる。 「流石に……冗談でしょ?」  ゆうべの回数なんか覚えてられないくらいだ。それこそ獣みたいにセックスしたっていうのに。 「全部本気だよ。しないけどね。ほら服、着よっか」  きせかえ遊びをするようにオレにTシャツをかぶせ、腕を通していく。 「ねえ眞尋──前にどこか行きたいって言ったよね。海には来たから今度は山かな。どっちにも家の別荘があるよ。一緒に行こ」  脈絡なく先生が言う。夏休みの予定の話だ。流されたと思ったのに、覚えててくれた。 「誰の目にも止まらない所で、誰にも邪魔されずに二人だけで過ごそ。そこで今度は──眞尋の全てを僕に見せて」 「うん……絶対、行く」  先生は髪を搔き上げながら伏目がちに口元で笑う。寝起きの気だるさも相まって、また見たことないほどの色気に溢れてる。 (オレの方こそ、また欲しくなるよ……)  オレも人のことを全然言えない。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  臨海学校という名の愛と欲望のバカンスが終わった。帰りのバスの中で先生に寄り掛かってウトウトしている。  二日目の夜もほとんど寝てなくて身体がだるい。誰のせいかは言うまでもない。 (──オレの方が若いのに……それもはるかに。一回り以上。なんなのあの絶倫……そりゃもっとって言ったけど、無いの限界)  半分夢の中だからとりとめがない。 「おまえ夏休みの予定ってどうなってんの」  前の座席から霧谷先生の声が聞こえる。間宮先生に言ってるんだろう。 「特に何もありませんよ」 (オレと……別荘行くんだよね……) 「実家帰らねえの?」 「帰りません」 (ふーん……実家、どこかな……) 「こいつとどっか行くとか」 「さあどうでしょうね」 (こいつ……オレか……) 「はぐらかすんじゃねよ。しっぽり二人でどこ行くんだって」 「しつこいなあ、行きませんたら」 (ほんとしつこい……あれ?行かない……?) 「──別荘連れてってくれるって言ったじゃん!」 「……眞尋……」 (あ……口に出てた……先生の目が……怒ってるよね……寝ぼけてたんだよ) 「なになにーシオ、センセーと別荘行くの?はいはーい、オレと右白もー!ね、いくない?それ、楽しくない?ね!」 「左十君……」 「それいいな。オレも連れてけ。退屈させねえでやるからよ」 「……先輩」  先生の声が珍しく困惑してる。オレの方を向いて、露骨に不機嫌な顔をする。 「それで君は、なにを笑ってるんですか」 「……みんなで行くのも面白そうかなって?」  嫌そうな先生に鬱陶しい左十たち。想像しただけで可笑しくなってくる。 「別に良いですけど、目的は変えませんからね?………どうなっても知りませんよ」 (……すっごい悪いこと考えてる……)  先生に翻弄される分、オレも先生を振り回してやる。  もっと知りたいからしょうがない。色んな(かお)する先生のこと。  ──オレもいっぱい見せるから。  機嫌を直した先生が、大きな()を伏せ静かに微笑(わら)う。  たまらないほど愛おしくって、周りは無視して抱きしめた。

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