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2《日課の狩》

「今日も元気そうだな」 「ラウ?」 「うん」 ラウはオレの恋人だ。 本当は毎日逢いたいけれど、この群に残るためには、一旦、離れ離れになるしかなかった。 ラウはすぐにでもオレとツガイになりたいと言ってくれるけど… よそ者の、しかも人間のΩが、(むれ)(おさ)と簡単にツガイになっていいはずがない。 一番、ラウの弟、レイが許してくれそうにないから…。 「よし、オレたちも狩りに行こうか」 森の生活は単純だ、夜は寝て、日の出と共に活動開始。 日中は森で狩をし、夕方には狩の収穫物を貯蔵庫がわりの洞窟へ持って行き、代わりに夕食と朝食分の食料を配給してもらう。 紙幣等は使われていない様子。 簡易ランタンがあるくらいだから火を使う文化もあるようで、武器は大体、木を削って尖らしたものが多いけれど、石などを加工してナイフや器のようなものを作る技術もあるようだ。 食料調達をしないと、食事が出来ないため休日などなく、毎日それを繰り返す生活だ。 狩の時に使う小型ナイフを腰に巻き、シィを連れて狩に出る。 縄張りを出ないように、近場を散策する。 一番の目標は猪、夜になると凶暴化する動物らしく、昼間のうちに駆除も含めて狩を行う。 夏手前のこの時期、森には木の実などが豊富にある。 それも収穫してシィの持つ革袋に入れながらいつもの場所を目指す。 丘高い見晴らしのいい場所、そこにある一本の大木に近づく。 「あった」 木の枝の目立たない場所に小さな革袋がかけてある。 中身は、ラウの抜け毛。 これも離れ離れの二人だけの大切なコミュニケーション。 ラウがオレに逢いたくなったら、ここにこれを昨日のうちに置いて帰る。 朝オレは中身を回収して、石を一つ入れておく。 それを狩を終えたラウが夕方確認に来て、革袋の中に石が入っていれば今夜逢おうというサイン、石がなければ今夜は逢えないというサイン。 すれ違わないように、そう二人で決めた。 中身がなんでラウの抜け毛かというと、ラウの綺麗な毛を集めて羽織や帽子でも作って少しでも人間の自分が獣人族に溶け込めるようにしようとかと考えていて…

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