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8《久しぶりのラウ》

村の外れの小屋に戻り、夕日を眺めながらシィと二人で夕食にして、小屋の部屋に入り、まったりとした時間を過ごす。 手に入れたラウの毛を太めに紡いで帽子を少しずつ作っている。子どもの頃、遊びの中で母親から教わった指編みがこんなところで役に立つなんて、思いもしなかった。 親に捨てられた事実を考えると、哀しくなるけれど、オレがΩになったのが悪かったんだから、別に恨んでなんかはいない。 これからどうなるか分からないけれど、ラウに会えて、シィも一緒に生きてる今は、しあわせだから… なんとか、ここでの生活を安定させていきたい。 今夜はラウに逢えるから、日が暮れたら早めに休もう。ラウが来るとなぜか自然と眼が覚める。 シィは安全な場所なら、一度眠りについたら夜中は熟睡して起きないので助かる。 そして月が昇った真夜中、アサトは小屋からそっと出て、待ち人を探す。 「アサト!」 「ラウ!」 木を軽々登り、姿を見せる、青銀の毛並みの美しい狼獣人。 月明かりの中、名前を呼び、ぎゅっと抱きしめあう。 久々の再会。 柔らかなふさふさの毛並み、大きなふさふさの尻尾に包まれ、その温かさに安堵する。 「森、大丈夫だった?」 夜の森は危険だから、心配になる。 背の高いラウを見上げて訊く。 「あぁ、平気だ、アサトも変わりないか?…ッ!その顔…」 頬についた傷を見て驚くラウ。 「今日狩の時に、他の群のαに会って、ちょっと爪でやられた、けど平気」 「っ、大丈夫だったのか?」 とりあえず傷口を匂い舐めながら心配する。 「うん、ラウの毛のおかげで攫われずにすんだよ、オレに、ラウの匂いがついてるからって帰って行った」 「……、よかった、けれど…やはり危険だ」 「うん、オレもそう思って、今日レイに話したんだ、みんなの狩に同行させて欲しいって」 「アサト」 「毎日はダメだけど、週に一度ならいいって」 「そうか、でもレイは狩には来ない、毎日来ても分からないから、これからは俺達の狩に同行したらいい」 「ううん、せっかく許してもらえたんだから、嘘は付きたくない、レイに認めてもらう為、約束は守るよ」 「……それでも、心配だ」 「大丈夫、これからはあまり遠くに行かないようにするから、でもそうするといい物が獲れなくて成長期のシィに沢山食べさせてやれないのが辛いかな」 「お前だって成長期だろう、とりあえずこれを持って来たから」 ラウが持って来た皮袋からは乾燥した肉や魚がたくさん。 「わ、凄い」 「肉や魚の燻製だが、保存がきくし、木ノ実よりは栄養になる、足りない時はこれを食べるといい」 「ありがとうラウ、助かるよ」 「いや、不便な生活をさせて本当にすまない」 「そんなことない、人間の世界のあのΩ宿に比べたら、よほど自由だから」 あそこは、檻の中か鎖に繋がれた生活だった。 「それでも、心配なんだ、本当は俺の傍にいさせたい」 そう抱き寄せながら囁く。

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