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17《青銀と白銀》
「西の洞窟ってここだよな」
小屋にシィを留守番させて、何も知らず、レイと交流しようと思い、言われた洞窟に入って行くアサト。
「ん?何か声が…」
そっと、明かりの灯る奥を覗く。
そこで見た情景…
「レイ?……ッ!!?」
レイが…獣人と交わっている、その相手に驚愕してしまう。
ラウ!??
「え…っ」
思わず声が出てしまう、慌てて口を抑える。
「ぁん!兄様っ、あぁッ、…にいさまっ」
美しい白銀の毛並みが艶やかに光って…
そのしなやかな体躯に後ろから、覆い被さる青銀の毛並みの逞ましい獣人…
ラウ…
ショックとともに、その情景は…美しいとさえ感じてしまう、交わり合う二体の狼獣人。
「ぁっ、兄様と、ツガイになるのは僕、アぁ!もっと、もっとしてっ…にいさまッ、あぁん」
「……っ」
見たくないのに、足が震えて、身体が全然動かない…
頭が真っ白になって…何も考えれなくて…
否応なく、ラウとレイが繋がりあう、淫らな音が…耳に入ってくる。
熱く猛った声で、ラウがレイの名を呼ぶ…
不意にレイと目が合った。
次の瞬間、レイは甘い声を洩らしながら、優越感に満ちた笑みを向けてきた…。
「……っ!」
ドキリと心臓が鳴る。
ふっ、とカラダを縛る呪縛が解け、脚が動いた。
「っ…」
目の前の事象を全て否定する様に頭を振り、その視線から逃げるように洞窟を走り去る。
そのまま、小屋まで全力疾走していた。
「ッ……ハァ、ハ!」
レイに呼ばれて行った洞窟、そこで…
ラウとレイが、身体を重ねていた。
レイが、発情していたんだよな…?
発情中のΩに対して、自制が効かなくなるのは分かっていたけれど…
兄弟で?人間では普通ないことだけど、獣人では兄弟間は普通なのか?
レイもこれをオレに見せる為に…
だめだ、思ったよりショックを受けている自分がいる。
頭が混乱して、訳が分からなくなって…
ツガイになっていないんだから、発情期に致してしまう可能性があるのは分かっていたけれど、よりによってもレイとだなんて…
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