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18《混乱》
「……ハァ、ハァ、ッハァ、」
小屋に駆け上がり、中に転がり込む。
「アサト??」
急に戻って来て、いつもと違う様子に驚くシィ。
「ふ…、シィ…どうしよ」
シィを抱きしめて、涙が止まらなくなる。
「?」
多分、レイに認めてもらうのは無理だ。
レイは…ラウとツガイになるつもりなんだ。
許してくれる筈がない。
「アサト?」
シィが心配して頬を舐めてくる。
「…ごめん、ありがとシィ、ちょっと混乱してて…」
落ち着こうとしても、さっき見た情景が頭から離れない。
動悸がつき、呼吸が速くなり身体が無意識に震える。
ラウがレイと…
「……ッ」
ラウとレイは、もうずっとそういう関係で…ツガイになる予定だった?
そこにオレが急に割り込んで、…それなら、レイにとってオレは邪魔者でしかない。
それに…
レイ、凄く、綺麗だった…
真っ白で美しい獣人…
完璧な敗北感。
ラウに見合うのは、オレじゃないって、突き付けられたようで…
オレなんかが、ラウの傍にいること自体間違いだった…?
やっぱり、ラウに頼って、ここで生きていくことは無理だったのかな…。
レイの言うように、よそ者は出て行くのが当たり前…
でも、オレももうすぐ発情してしまう、こんな時期に、危険を犯してまで出て行けない…
どうしたらいい?
オレたちは、どうしたらいいんだ?
ショックが大き過ぎて、思考が上手くまとまらず不安感が増すばかり…
その日はシィに慰められながら無理やり眠りについたのだった。
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