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19《どうしたら…》
次の日、気持ちは重いまま、それでも食料調達のため狩にでた。
「……」
いつもの丘まで来て…
「ある…」
ラウの抜け毛が入った皮袋…
そっと、ふわふわの毛を取り出す。
「ラウ…」
それを見ると、昨日のラウとレイが鮮明に…
青銀と白銀の美しい二人が…
ラウもオレに気づかないほどレイに夢中で…
それを思うと動悸がついて、身体が震えて…
ラウの毛が手から離れ、土の上へと落ちていき、それと同時に涙が勝手に零れ落ちる。
「アサト?」
「うん、ごめん、シィ行こう」
涙をぬぐい、振り切るように歩き出す。
「?…」
シィは首を傾げ、落ちた毛を拾って持ってくる。
「あ、うん、いるよな、ありがとシィ」
それを受け取り、袋にしまい込む。
「……いたい?」
シィが心配して、首を傾げてくる。
「大丈夫、ごめんな、しっかりしなきゃな」
石は入れられない、今…会えるような精神状態じゃないから…
でも、今日も、明日も、明後日も…
レイと交わるのかな…
レイと交わったあと、会いにくる気?
どういうつもりで、…ラウにとっては、そんなにたいしたことではないのかもしれない。発情期だから仕方ないのかもしれない。
だけど…だけど、
胸が苦しい。
こんな気持ち初めてだから、分からない。
ラウと話をしなきゃならないけど、どういうふうに話せばいいのかも分からない。
「……ラウッ」
オレ、どうしたらいいんだ?
夕方になり、いつもの丘、見回りを済ませてやってきたラウ。
皮袋には…
「……ないか」
石がなければ会えない印。
残念に想いながらも、アサトを想い再び皮袋に抜け毛を忍ばせる。
「アサト…」
夏が来て、アサトもいつ発情が始まるか分からない、心配しつつもいつも通り帰路につく。
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