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20《憔悴》
夕方になり、アサトは狩の収穫を食料と交換してもらっていた…
そこへ…
「おい、人間!」
レイが話しかけてきた。
シィは怯えて後ろに隠れる。
「……ッ」
「昨日はいいものが見れただろ?」
綺麗な顔をほころばせて、わざとらしく聞いてくる。
「っ…」
「兄様のおかげで発情期も苦じゃないんだ」
「……」
やっぱり、発情期のたびにラウとレイはそういう関係に…
「分かったら兄様に近づくのをやめろ、薄汚い人間、そろそろ出て行く準備をした方がいいかもね」
「……」
「ふふん、」
レイは言いたいことだけ言って優越感に浸りながら去っていった。
一言も言い返すことが出来なかった。
発情も始まっていないのに、身体が重くだるい。じわじわと精神的に追い詰められいた。
なんとか小屋まで戻り…
重い腰を下ろす。
「ゴハン、ゴハン!」
食料を匂ってシィが急かしてくる。
「いいよ、少ないし、シィ全部食べて」
食べ物が喉を通る気分じゃなかった。
配給分を全部シィに手渡す。
「はんぶん…」
しかし、シィは首を傾げて、半分こにしてくれる。
「シィの、アサトの、」
いつものように、そう言いながら半分渡してくる。
「いらないから」
「…アサトの、」
それでもシィは食料の半分を渡そうとしてくる。
「いらないって言ってるだろ!!」
イラっとして床を叩いてシィを怒鳴りつけてしまう。
「…!!」
シィは、びくっとして、耳と尻尾を垂れて部屋の隅に逃げてしまう。
「……ごめん、シィ…」
はっとして、シィのそばにいき、優しく抱きしめ謝る。
「……」
「ごめんな、八つ当たりなんか、最悪だよな…」
シィは何も悪くないのに…罪悪感が押し寄せる。
「アサト?」
シィはぎゅっと抱きついて、ペロペロと頬を舐めてくれる。
「ごめん、大好きだよ」
「すき、アサト…」
「うん、」
もう、ラウを好きでいちゃ駄目なのかな…
ラウとツガイに、なれないなら…
胸が苦しい…
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