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23《逢いたくない》
ラウは、次の日も皮袋を確認するために、1日の終わりに丘に寄る。
「え、何故?」
皮袋には昨日入れた抜け毛がそのまま残っていた。
「アサトに何かあったのか?発情期がきたのか?」
ここまで来られない状態になっているのか…
いつもとは違う状況に心配がつのる。
真夜中、ラウは心配してアサトに会いに行く。
いつもは外に出て待ってくれているアサトだが、今日は約束をしていないから当然いない。
小屋の入り口に近づいて声をかけてみる。
「アサト?俺だ、ラウ」
「……」
すぐには開かないように仕掛けのしてある入り口の戸、その内側にアサトの気配がして、ラウはそのまま語りかける。
「アサト、大丈夫か?丘に来ていないようだったから、発情が始まったのかと思って…」
「……」
「アサト?」
「…発情はしてない」
ポツリと答える。
「アサト、どうした?出て来てくれアサトに逢いたい」
「……、オレは…」
「アサト?」
「…今は、逢えない」
声には力が無く掠れている。
「どうした?怪我でもしたのか?」
そんな様子のアサト、さらに心配になる。
「ううん、ラウに逢いたくない」
「え…」
「ごめん、帰って」
「アサト!?どうした?何があった?」
そんなことを言われるとは思わなくて、焦燥感から、早口で問う。
「……」
「アサト、理由を聞かなければ帰れない、どうかしたのか?」
「っ、っどうしていいのか、分からなくなって…」
「アサト、泣いているのか?」
「っ、……」
「どうした?誰かに何かをされたのか?教えてくれ」
「……」
「……」
ラウはアサトの言葉を待つ。
長い沈黙の後、ぽつりと重い口を開く。
「………今日もレイと寝た?」
これを話したら終わりかもしれない、けど…
抑えきれず聞いてしまう。
「…え?」
「二日前、夕方西の洞窟で、レイとしてただろ」
「…あれは!…見たのか!?」
「……獣人って兄弟でもありなんだな」
「違う、あれは、レイに騙されて…」
「…オレなんかより絶対お似合いだよ、ッ、二人とも綺麗だし、レイとツガイになれば、獣人同士、何の問題もないし…っ」
流れ落ちる涙を拭いながら…そんな言葉が次々と出てくる。
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