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25《大好き》
「アサト、」
緩く首を振り、愛しい名前を囁く。
「ただ、なんか色々ショックで…」
レイの願いを知って、自分の立場は危ういものになるから。
「俺のことを、嫌いになったか?」
「嫌いになるわけない、大好きだよっ」
ぎゅっと抱きついてしまう。
「アサト…俺も大好きだ」
優しく抱き寄せ、想いを伝えあう。
「だから、色々考えたら、オレは、ここに居ていいのか不安になって…」
ラウの温もりを感じていると、次第に冷静さを取り戻せていく。
「勿論、居ていいに決まっている」
「レイは、ラウとツガイになりたいんだろ?」
「あぁ」
「兄弟でって獣人は大丈夫なんだな」
「いや、獣人も兄弟でツガイやパートナーになるのはあまり良しとはしていないが、交尾は普通に行うことが多い、初めての発情期に近くにいるのは親兄弟が多いからだ」
「…そっか、人間じゃあまり無いからびっくりして…」
「すまない」
「ううん、でも、レイに許してもらうのは難しそうだな」
「レイも、そろそろ自立していい歳だから、いい相手がいれば…」
「ラウより格好いい獣人はなかなか居ないかも…」
不安が和らいで、少し微笑むことができた。
「アサト…」
「…ラウとツガイになれないかもって思ったら凄く悲しくなって」
「俺はいつでもアサトとツガイになる気持ちでいる、アサトが許してくれたらすぐにでも」
「ありがとう、でもレイの気持ちを考えたら…」
「アサトは何でも考え過ぎる、しっかりしていてとても頼りになるけど、もう少し自分の気持ちを大切にしてみてもいいと思う」
「うん、でも考えちゃうんだよな、困るよな」
「アサト…」
「でも、話せて良かった…もう、どうしていいか分からなくなってたから」
「大丈夫、何も変わらないから」
そう、優しく抱き寄せる。
「うん、ありがとう…温かい」
ラウのふさふさの毛に包まれて、なんとも言えない心地よさ。
「……アサト」
ラウの温かさに、ようやく安堵して、寝不足気味だったためラウの腕の中で、すやすやと眠り始める。
泣き腫らし疲れきったアサトの様子を見ると胸が締め付けられるように傷む。
「……レイ」
アサトにこんな辛い想いをさせて、それを止められない俺も同罪だ。
俺はレイを甘やかせ過ぎたのか…
レイとは二人だけの兄弟。親はもういない。
αで厳しかった父、仔はαを期待していた為、Ωのレイにはいつもきつく当たっていた。
だから可哀想で、いつも庇ってやって…
初めて発情した時、苦しそうなレイを楽にしてやろうと、身体も重ねた。
それからより一層レイは俺に依存してきて…
俺とツガイになるこを望むようになってしまった。
このままじゃ駄目だと、最近は距離を置くようにしていたが…
レイは思い込みが激しいところがあるから…
下手に注意すると、アサトが心配している通り、アサトたちに矛先が向くかもしれない、どうするのが正しいのか…。
それでも、アサトたちを守るため、レイにも分かって貰わないとな…。
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