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26《発情》
ラウと話し合って数日後、身体に変化が起こる。
「ハァ、この独特のダルい感じ…ついに二回目…」
来て欲しくなかったけど、発情がついに来てしまった。無差別にαやβを引き寄せてしまう。
やっぱりこんな状態じゃ、マトモに狩に行けない。
それを見越して、少しずつ一週間分の食料を小屋に貯めて、狩に行かなくて済むようにはしていた。
匂いを惑わす薬草を小屋の外にたてかけ、αを寄せ付けないよう、極力小屋から出ないように過ごすつもり。
幸いこの小屋は群 の外れにあるから群 の獣人には匂いは届かない、動かなければ安全だ。
一週間動けないとシィにはストレスになってしまうかもしれない、だけど…危険は犯せない。
しばらくはラウの力を借りないと…キツイかな…
丘には行けなかったから、ラウにはまだ伝えられていない、シィだけでもラウが気づいて来てくれた時に匿ってもらわないとな。
夕食を済ませて発情で、気だるい身体を横にしている時…
不意に動悸がつく。
「ハァ、ハァ…なんだ?急に、この感じ…」
身体が勝手に火照って…
「ハァ、まさかαが近くに来てる?」
Ω宿で嫌ほど感じさせられた、雄を求めて高鳴る性的興奮状態…。
「シィ、隠れて…ハァ、」
「アサト?」
「この感じ、ラウじゃない…」
部屋の奥にシィを隠して…
自分は別の場所に隠れて、匂いを惑わす薬草を握りしめる。
しばらくして、小屋の入り口がガタガタと荒っぽく音を立てる。
何か来てる…
確実にラウじゃない。
直ぐには戸は開かないように細工してあるが…
ガン!ガン!!
今度は戸を殴るような音が聞こえてきた。
勝手に速くなる呼吸を抑えつけながら、身を潜め、恐怖心に震えていると…
次の瞬間、ドガッ!!
大きな音とともに戸が破られる。
「ッ面倒な…おい!赤毛の人間!!」
入ってきたのは、黒い大柄な狼獣人α。
「隠れても無駄だ、この変な臭いで誤魔化しているつもりか?ふっ、甘い匂いがダダ漏れだ」
「ッ、」
獣人は迷わずアサトが隠れている付近に近づいて、アサトを見つけると腕を掴み引き摺り出す。
「見つけた」
金色に光る瞳をギラつかせ、にやりと笑うその姿…。
「ッ、お前は…!」
「以前、滝で会ったな、北に縄張りを持つ黒狼獣人のガイルだ、お前をツガイしてやろうとわざわざ来てやったんだ、喜べよ」
刺激草を跳ね除けながらアサトに迫る。
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