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27《力の差》
「な、勝手に、そんな」
「勝手じゃないさ、ちゃんとこの群 のヤツに取引されたんだ、邪魔な人間がいるから連れて行ってくれってな、ヴァンのもう一人の息子、レイの使いだと言う奴だ」
「な、ハァ」
「この場所も、お前が発情したこともソイツが教えてくれたんだ」
「そんな、ッハァ、ハァ…ぅ」
αの匂いに身体が勝手に反応して熱くなっていく。
「ん?欲しいのか?息が上がってるぞ?」
腕を掴んだまま、手でアサトの顎を持ち笑う獣人。
「違う、離せッ」
「ふん、」
有無を言わせず衣服を剥ぎ取られ、床へ押し倒され、押さえ付けられる。
「ふ、本当に毛が無いな、しかし人間のΩも随分と美味そうな匂いがする」
物珍しそうに匂いを嗅ぎながら…
「嫌、だ、ハァ…」
濡れた鼻やヒゲが身体に触れるだけで、痺れるように感じてしまう。
意識とは裏腹に、発情の熱はそのαを受け入れたがって、後ろの孔がしっとりと濡れてくる。
「甘い匂いで、俺を誘っている」
長い舌で背中を舐めあげる。
「っ、ん、ぁ…いやだ、ぁ、ひァ!」
逃げようとする身体を簡単に支配して、胸や身体を大きな舌で舐め回す。
「アサトッ!!」
不意にシィが組み敷かれもがくアサトを助けるため、奥から飛び出してくる。
「…!」
獣人の腕に噛み付こうとするが、ガイルはシィの首を鷲掴みにし、そのまま締め上げる。
「ぅぅ、」
「シィっ!シィを離せッ!やめろ!」
「そうか、半端者もいたんだったな、」
シィは踠 いて、首を掴む腕を外そうと暴れる。
「まだ子どもか、そう急がんでも発情したらお前も噛んでやるよ」
軽く匂いを嗅いでニヤリと笑いながらシィの首を締め続ける。
「やめろ!シィを離せッ」
アサトも獣人の腕を掴み、引き離そうとするが、身体に力が入らずビクともしない。
「ッ、ぅー、」
そのうち暴れていたシィの動きが止まり、ガクッと首をうなだれ、手足も力を失う。
獣人はそのままシィを入り口の壁の方へ放り投げる。
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